二〇世紀ひみつ基地

  1. さまよえる稲荷神社・すずらん通り一区

    ▲すずらん通り一区 2020.08 秋田市の川反通りに近い、すずらん通り(三丁目小路)一区の道端に、背丈ほどの小さな稲荷神社がある。その名は「正一位発展稲荷神社」。すずらん通り商店街の守り神だ。 やけに安っぽい造りで、大きさからして祠(ほこら)と言ったほうが的確な当神社は、初めからこの場所にあったわけではなく、数回の遷座(せんざ)、つまり移転を重ねるごとに規模を縮小し、今(2021)から34年ほど前に現在地にや...

  2. 旭北小「寺町横断通学路」1972 開通

    ▲2019.06撮影(以下同) 秋田市旭北寺町一丁目、伝法寺と竜泉寺のあいだを東西に延びる、ブロック塀に挟まれた小路。出入口に車止めがある小道は暗渠を連想させるが、そうではない。 今回はこの小路の成り立ちを紐解いてみる。 実のところ、先ほどの小路の起点は、すずらん通り(三丁目小路)の突き当たりに位置する。 左手の「セブン-イレブン 秋田大町4丁目店」とその駐車場は、洋画館「秋田ピカデリー劇場」の跡。 昭...

  3. 「松坂古書店」店主殺人事件と二つの店名の理由

    ▼さようなら「松坂古書店」 一昨年(2017)11月末日、秋田市で最古の歴史を有する古本屋「松坂古書店」南通り店が静かに店を閉じた。 ▲「松坂古書店」南通り店跡 2019.04 ▲平成2(1990)年 平成2(1990)年時点の店舗をあげると、すずらん通り本店・南通り店・手形東通り店・秋田ワシントンホテル(現・イーホテル秋田)2F AD店の4店。80年代には秋田大学の近くに手形山崎店も。 ▲「松坂古書店」すずらん通り本店 2004.03 70年...

  4. すずらん通り「さんや食堂」残影

    戦後まもなく開業し、秋田市すずらん通りで最も昭和の面影を残す建物であった、旧「さんや食堂」が、昨年(2017)末、解体された。 ▲2003.11  引き戸を開けて入ると右手に小上がり、中央がテーブル席、左手に厨房。 看板にも名前が見える、一人鍋で食べる具沢山な肉鍋定食、親子丼、天ぷらそば等々、何を食べても外れのない老舗の味。  ▲昭和26(1951)年 新聞広告 ▲昭和26(1951)年 新聞広告 創業者の名字の頭文字「三」と、下...

  5. すずらん通り「音の店」楽器とレコードとオーディオと

    ▲昭和26(1951)年 新聞広告 秋田市大町「赤れんが館」南側、すずらん通り(三丁目小路)に、昭和25(1950)年創業の「音の店フジタ」は、レコードと音響機器、楽器と楽譜など、音楽に関する商品を取り揃えた「音」の専門店であった。 新聞広告にある「録音 10吋(インチ)レコード両面 吹込料共600円」の文面が気になる。 当時のSPレコード(78回転)の収録時間は10インチ(25センチ)盤で片面3~4分ほどだから、一枚につき6~...

  6. 氷水屋と銭湯と・消える昭和

    季節外れな話題だが、秋田市内で営業していた昔ながらの氷水屋が、この数年間に次々と店を閉じた。その主な理由は経営者の高齢化と後継者の不在。 ▲「佐々木商店」2004.07 三皇祭の日 夏期以外は大判焼き・鯛焼きを商う、牛島商店街の「佐々木商店」通称・牛島のババの店。 切妻屋根の町家建築に、かき氷の氷削機および大判焼機による製造工程が外から見える出窓を設けた古典的スタイルの、大正・昭和の風情が色濃く残る店であ...