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広小路堀端に物凄き怪音・昭和十年夏の怪談
2昭和10(1935)年の夏、秋田市広小路「大手門堀」に、夜な夜な怪音が鳴り響く異変があり、あたりは深夜まで、噂を耳にして集まった物見高い野次馬でごった返した。 真夏の夜にふさわしい猟奇的な話題が広小路濠端に提供されている……市内広小路大日本電力(*1)前濠端に毎夜午後十一時を過ぎると付近の人々は勿論、遠くから噂を聞いての恐いもの見たさの人々が朝の三時頃までずらっと並んで、向い側武徳殿(*2)土手にまで懐中電...
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ホントは怖い与次郎稲荷伝説・エリアなかいち
▼与次郎のキャラ化にたまげる 秋田市中通一丁目地区(日赤・婦人会館跡地)市街地再開発事業「エリアなかいち」のオープンにあたり、昨年(2012)7月にマスコッ卜・キャラクタ一に就任した、飛脚の白狐 ・与次郎。 やけに眼光鋭く、とげとげしい表情は、与次郎の“恐ろしい祟り神”としての一面を表しているかのようで、どうも親しみを持てない。 以下に記すような、“内に深い闇を秘めた伝説の主人公”である与次郎を公共施設の...
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穴門の堀に龍神を観た・広小路「蛇柳」跡ポケットパーク
▼広小路「木内」向かいにポケットパーク誕生2004.04 旧瀧不動産・旧マルキン本店(消失物件)平成十九年(2007)に更地となったあと、しばらくは不動産屋の看板が立っていた、秋田市広小路「木内」向かい、旧「瀧不動産」および旧「マルキン本店」跡地で、昨年春から始まったポケットパーク造成が、平成二十四年(2012)春に竣工した。完成予想図イラストでは人物の比率が小さく描かれているため、実際よりもずいぶん広く見える。...
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地球への置き土産・黄金の龍神雲
2012年辰年の元旦、 Twitter から発信された一枚の画像。躍動し黄金に輝く龍体を思わせる画像は話題を呼び、たちまちネット上に拡散されたが、実はこれ、2010年4月、フロリダで撮影されたもの。俗に言う地震雲とも形状が違う。Tweet 元の本人は画像の出所を知っていて、軽い気持ちでネタとして投稿したが、あまりの反響の大きさに、いまさらネタでしたとは言えず、そのまま放置したらしい。さすがに「バカ発見器」と揶揄される Tw...
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大震災を黙示するかの如く・秋大モニュメント
阿部米蔵によるパブリックアート・その8阿部米蔵「雨露と土」昭和46年(1971)タイル壁画・秋大教育文化学部秋田大学教育文化学部3号館の新築に際して、附属する60周年記念ホールに、当時美術科の教授であった阿部米蔵がデザインした壁画が設置された。壁画に描かれたものは波濤と廃墟、日輪(太陽)さえも寿命を迎えたかのように侵蝕されている。諸行の無情を感じさせるその壁画は、未来を担う若者を教育する場にはふさわしくは...
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二〇世紀版「金照寺山」案内記
太平川より百石橋と金照寺山を望む 05.05●金照寺山縁起金照寺山は楢の木が多く、一時期は楢の伐採地でもあったことから、古くは「楢山」と呼ばれていた。この「楢山」を起源とする地名「楢山村」は天正十九年(1591)の文書にその名が残るほどの古い地名。慶長七年(1602)、八幡坂の北側平地のあたりに、佐竹氏の転封にともない常陸から「天徳寺」(佐竹家菩提寺)が移される。以降「楢山」は「天徳寺山」と呼ばれるようになるが、...