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黄金の泡立つ花は盆の花
大泡立草・オオアワダチソウ盆花は盂蘭盆に帰ってきた祖霊の「依り代」(よりしろ=憑依の対象)として、山野から採ってきて盆棚や墓に供える花のこと。桔梗・女郎花(オミナエシ) ・山百合など、その種類は各地でさまざまで、この時期に咲く花ならばなんでもかまわないとする地方もある。秋田で盆花としてなじみ深い大泡立草(オオアワダチソウ)は、秋に花をつける背高泡立草(セイタカアワダチソウ)と同じく北米からの帰化植...
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茎紅(あか)く花より紅く断腸花
秋海棠・雄花秋海棠(しゅうかいどう)シュウカイドウ科・ベゴニア属・多年草原産地・中国・マレー半島漢語の原名「秋海棠」をそのままに、シュウカイドウと音読して和名とした。江戸時代、中国より園芸用として持ち込まれ、次第に野生化し定着する。薄紅色のうつむいた花の形姿が、春に薄紅色でうつむいた花をつける、バラ科の落葉低木「海棠」に似ることから、秋の海棠の意でこの名がつけられた。秋海棠・雌花別名「断腸花」(だ...
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しもつけの薄紅霞む里の家
後の日に知る繍線菊(しもつけ)の名もやさし 山口誓子シモツケ(下野)学名:Spiraea Japonicaバラ科シモツケ属の落葉低木梅雨入り頃、生家の生垣に名も知らぬ薄紅色の小花がほころんでいた初夏の記憶。群れて咲く小花の、ひょろりと長く伸びた雄しべが、遠目にぼんやりと霞んで見える。シモツケの名は現在の栃木県にあたる下野(しもつけ)の国に産したことにちなむとされ、また、霜が降りたような花の姿から「霜付け」と名づけ...
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つりばなのはぜて赤き実夕間暮れ
ニシキギ科ニシキギ属ツリバナ(吊花)の実藩廟の跡・千秋公園にて赤く熟したツリバナの実が割れて、今にも落ちそうな赤い実をぶら下げる秋。ツリバナの花五月頃に開く、すこし紅をさした淡緑色の花は気品があり、秋にはぜる赤い実とともに、茶席を彩る茶花として好んで用いられる。吊り下がって咲き、実をつけるその姿から、ツリバナの名がつけられた。...
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露草のうつろい易き青空よ
朝露の降りる早朝に咲き始め、午後にはしぼんで命を終えてしまう、露のごとくはかなきツユクサ(露草)の、鮮やかな青色と、見れば見るほど不思議なそのカタチ。ツユクサの和名は“露をおびた草”という意だが、古くは「つきくさ・付草」とよばれていた。その意は花びらの青色が“付きやすい”(衣に摺るとよく染み着く)ため。万葉集の読みでは「月草」の字が当てられ、その花のはかなさ、その花で染めた着物の色の褪せやすさなどから...