1. 内堀と鐘つき堂のある風景

    勝平得之『千秋公園八景・雨の内濠』昭和十二年県民会館の裏に残る千秋公園の内堀と、その上の鐘楼。内堀の水面は鷹匠町方面へつづき、柳越しに土手長町の火の見櫓がみえる。水上を這うように伸びる松は今も健在。久保田城の時鐘の歴史をひもとくと、寛永十六年(1639)、第二代藩主・佐竹義隆が、二の丸の東側、現在の佐竹資料館の裏付近に設置したのが最初で、明治の廃藩後、寺町、土手長町と移転した鐘楼は、明治二十五年、再び...

  2. 大町通りを俯瞰する(其二)・戦前風景

    大町三丁目から南を望むカメラは大町三丁目通りの中央・東側に存在した火の見櫓の上から、前回の記事「大町通りを俯瞰する(其一)」とは反対の南側に延びる大町・本町通りを俯瞰している。時代は大正後期。右手に、明治四十五年竣工の「秋田銀行本店」(現・赤れんが郷土館)、煉瓦塀で仕切られた、現在は赤れんが郷土館の駐車場兼小公園になっている場所に、手前から「鈴木文具店」、三丁目小路(現・すずらん通り)角地に「平野...

  3. 大町通りを俯瞰する(其一)・戦前風景

    大町三丁目から北を望む・絵葉書よりカメラは大町三丁目通りの中央・東側に存在した火の見櫓の上から、北側に延びる大町通りを俯瞰している。時代は昭和初期と推定。右手前、屋根に看板を乗せた「ミノル洋服商会」は、寺町に近い山王大通りに移転して、今も服地を扱う店をつづけている。その北隣に味噌醤油醸造元「田中屋」。今は県立博物館に収蔵されている「しょうゆ」の名物看板が見える。さらに、足場が組まれて新改築中の「三...

  4. 川岸のポプラ並木に火の見の櫓

    通町橋から上流を望む・昭和三十九年頃通町橋から旭川上流を眺めると、右手川岸にはポプラ並木がつづき、その後方には、秋田市教育委員会、秋田市消防本部など市の関連施設が並んでいた。ひときわ高く眺めの良い消防の望楼(火の見櫓)は、写真撮影の絶好のポイントで、ここから撮影した外町(とまち)界隈の写真をよく見かける。望楼から外町方面を望む昭和三十年頃に出版された絵葉書から。例のように、この時代のカラー写真印刷...

  5. 共用栓のある風景・大町三丁目通り

    秋田市大町三丁目通り・大正初期の絵葉書より「里程元標のある風景・大町三丁目通り」で紹介したこの写真には、里程元標のほかに、近代庶民史を語るうえできわめて重要な物件が写し込まれている。それは右手の商店(履物商・河村商店と思われる)前にある消火栓のような物体。部分拡大これは共用栓と呼ばれる共同水道の施設で、その吐水口は商店の方に向けられ、水を受ける流しは、配水が側溝に流れ落ちるように、少し傾斜がつけら...

  6. 里程元標のある風景・大町三丁目通り

    秋田市大町三丁目・大正初期の絵葉書より「赤れんが郷土館」(旧秋田銀行本店)が建つ、大町三丁目通りの大正始期の街並である。旧町名での「大町」というのは、大町一丁目から大町三丁目までの、この通り沿いに付けられた地名で、三丁目以南は本町四・五・六丁目となる。右手に鐘楼(火の見櫓)がある。高層建築物のない時代、これほどの高さがあれば、外町のほとんどが見渡せたことだろう。この鐘楼からは多くの写真が撮影され絵...