1. 鏝絵・左官職人の心意気

    鏝絵「波に雲龍」秋田市下北手桜・鈴木家鏝絵(こてえ)とは、左官職人が鏝(コテ)を絵筆として、民家の土蔵の壁や扉、室内の欄間、壁などに、「鯉の滝登り」「鶴亀」「波乗リ兎」「雲龍」「お多福」などの縁起の良い意匠を、漆喰の浮彫りで描き彩色したもので、秋田市内では主に、下北手、太平、豊岩などに残されている。漆喰を使った鏝絵を考案したのは、文化十二年(1815)伊豆松崎に生を受けた入江長八(通称・伊豆の長八)と...

  2. 舛屋薬局・町家

    舛屋薬局秋田市土崎港中央三丁目(旧加賀町)木造二階建・塗屋造明治二年(1869)の建築と伝えられる、外壁を漆喰塗にした塗屋造、二階には虫籠(むしこ)窓を設ける。屋根は当初は瓦葺きだったが今はトタン葺。くすんだ色彩の、切妻・妻入の町家が建ち並ぶ通りにあって、漆喰の白壁がまぶしい平入りの店舗は、さぞかし湊っ子の眼を惹いたものだろう。店内に入ると、黒地に白の「大波小波」を描いた鏝(こて)絵の見事さに圧倒され...