1. 生け花の野外展示という試み

    九月二十四日、通町商店街の「通の市」会場で、竹青華道会が主催する「はなプロムナード」と題された、生け花展が開催されていた。この手の野外イベントは天候に左右されるため難しい面も多いが、散歩しながら気軽に見る生け花展は、とても面白い試みだと思う。初秋の太陽のもと、開放的空間に配置された花々たちは、室内空間よりもいきいきと輝いているようにだった。なかには、花を使わないばかりか、金属などの無機物だけで構成...

  2. 明治の洋館にチターの調べ

    九月二十五日第十一回赤れんが館音楽コンサート今回は開館二十周年を記念して、日本チター協会の内藤敏子会長によるレクチャーコンサート。共鳴胴の上に旋律用のフレット付き五本弦と三十本ほどの伴奏弦がある、ギターとハープがドッキングしたようなチターは、ピアノと同じくらいの音域をもち、チェンバロに似た音を出す。古代の一本弦のハープが永い時代を経て、現在のかたちになったのは十八世紀の末という。チターといえば、19...

  3. 秋田市通町・青物市場

    羽州街道筋にあり、城下と近郊農村を結ぶ商業のメインストリートであった通町は、早い時期から自然発生的に市が開かれていたというが、文久四年(1864)、上通町、中通町、大工町の三町(現在の通町)が朝市の家督を認められ、名実ともに市の街となって以来、連日、青物市場が開かれ賑わっていた。未明から正午まで、近郊の農家や土崎湊から、野菜・果物・薪・柴などが集まり、路上にムシロを広げて商いをする。雨の日や冬期は、商...

  4. 三丁目大蒜亭焼失す

    九月二十日午後九時ころ、秋田市大町三丁目、赤れんが館(旧秋田銀行本店)向いの「大蒜亭」から出火し、木造二階建ての店舗を全焼した。「三丁目ラーメン」を改装して「大蒜亭」になったのは1980年前後のことだったろうか。年輩の人たちには昔の名前の方が通りがよい。夜遅くまでやっているため川反帰りの酔客が多い店だった。「三丁目ラーメン」の時代、焼き物を担当していたおじいさんがいて、この人の作る焼肉のタレは他にはな...

  5. テキ屋のジョニー君

    今年の竿燈期間中、秋田駅前ポポロードで、怪しげでどこかなつかしい実演販売を見た。通路の中央にできた円陣の人込みに足を止めると、三十代なかばほどの男が、小さな人形を声で操っている。人形は手のひらにすっぽり隠れるほどの大きさで、胴体は紙、脚がゴムとスポンらしきもので作られていて、男が「ジョニー君、ジャンプ!」と命令すると、直立した人形はまるで生きているかのようにピョンピョンと飛び上がり、差しだされた紙...

  6. 山王さんの秋祭り

    九月十八日日吉八幡神社秋季大祭(山王祭)・宵祭り三つ巴の神紋が灯る宵宮の外町江戸時代は山王社と呼ばれた八橋の日吉(ひえ)八幡神社は、元和元年(1615)初代藩主佐竹義宣が「統治の安定と外町町人の発展」を願い、近江の日枝山王と京都の石清水八幡を勧請して創建。外町(現在の大町、川反、旭南)の鎮守として、古くから「八橋の山王さん」と親しまれてきた。十八日夕刻からの宵宮のメインは夕刻からの御差鉾渡御(おさしぼ...

  7. せきやの「たこあげくん」

    たこあげくん・三個パック 240円旬のイイダコまるごと一匹を使い油でカラッと揚げた、たこやきならぬ「たこあげくん」は、秋田市保戸野通町「せきや」総菜コーナーの人気商品。直径約5.5cmのボリュームは食べごたえがある。外はカラッと中はしっとりとして野菜たっぷり、タコの歯ごたえも良く、これを食べたあとでは、フツーのたこやきでは物足りなくなるのだ。イイダコの季節以外は、大きめのタコ足が入ったものになるが、大きさ...

  8. 川反の灯ひとつ消え……

    山王大通り「升屋」の角を川反通りに曲り、少し歩いた交番の斜向かいに、老舗割烹「いくよ」がある。古き良き川反の風情を今に伝える純和風建築の料亭だ。子供のころ「いくよ」という店名は「行くよ」だと思って「いくよに行くよ」などと言葉遊びをしていたが、その由来は「幾代」にも続く繁栄を願って命名されたものだろうか。先日のたそがれ時、川反を歩いていたら、いつもはそこにあるはずの馴染の風景が変わっていた。割烹「い...

  9. 2005 PMA・大町で音楽に浸る

    The Power of Music from AKITA(PMA)は、仙台の定禅寺通ストリートジャズフェスティバルを手本に、「音楽の力で秋田の街から、ドキドキ、感動を」をコンセプトに、この日曜日、第一回目が開かれた。前夜祭 サン・パティオ大町九月四日の日曜日、大町通りから通町にかけての六会場に、伝統音楽からロックまで、プロも含めた幅広いジャンルの演奏者が集まり、あたりは音楽に溢れ、老若男女の区別なく、ひとときの音の祝祭空間を楽...

  10. どこにもない絵・友川カズキ

    杉浦康平による美しい装丁でお馴染みの「季刊・銀花」最新号に、絵描きとしての友川カズキ(昨年「かずき」から改名)が特集されている。「銀花」もネタ切れか、焼きが回ったもんだな、なんて声が聞こえそうだが、過去の特集の傾向をふり返れば決して意外な人選ではない。カラー10ページモノクロ3ページ書き下ろし・綴じ込み絵本歌手・友川カズキの魂の繪「ユメなら、ある」●ユメなら、ある--歌手・友川カズキの“どこにもない絵”...

  11. 公園外濠ノ景・風景を読む

    消えた堀の記憶(一)公園外濠ノ景・明治末クリックで拡大千秋公園(久保田城)を取り囲む外堀を写した明治末期の絵葉書。記念スタンプには「国民新聞主催東北遊覧会歓迎記念明治四十二年九月十九日秋田市」とある。しかし、あまりにも現在の景観と変わっているため、初見ではこれが一体どこなのかさっぱり見当がつかなかったが、調べていくうちに、公園西側の千秋明徳町周辺を千秋公園の高台から写したものという結論に至った。公...