二〇世紀ひみつ基地

  1. 闇夜に響く札打ちの音

    一月十六日の深夜、寺町周辺のお寺の山門には提灯の火が灯り、鉦(かね)を叩く音、札を打つ音、ふだらく(御詠歌)を唱える声が闇夜に吸い込まれるようにかすかに響く。札所には炭火が置かれ、なかには甘酒なども用意して参拝者を迎える寺も。十五番・妙覚寺山門通称「札打ち」、正式名称「久保田三十三番札所巡礼」は、約三百年の歴史がある行事。当時、西国三十三番札所巡礼が大ブームになったが、一般民衆にとって遠方への旅行...