1. 溝蕎麦の金平糖の花ほころぶ

    ミゾソバ(溝蕎麦)千秋公園にて畦、川辺など肥沃な水湿地に群生するタデ科の一年草。蕎麦に似て溝に生えることからミゾソバと命名、飢饉の際の救荒食として栽培もされたという。葉が牛の顔に似ていることから、別名「ウシノヒタイ」。秋田方言では「ベコ(牛)クサ」「ウシノツラ」など。乾燥した葉を煎じてリウマチの薬に、葉を揉んだ汁は血止めに、また、漆かぶれに効果があることから「ウルシグサ」とも呼ばれた。秋にほころぶ...

  2. 草に埋もれて眠る猫に高田渡を想う秋

    先日の朝早く、秋の野草が花を結びアキアカネの舞う千秋公園を散歩途中、人のあまり入らない場所でなにかの気配を感じて、そちらに眼をやると、野良猫が草に埋もれるようにして眠っているところだった。人の気配で目を覚まし、「なに見てんだよ!」と言いたげな不機嫌な顔でこちらを向いた、寝ぼけまなこがだんだんと大きく開く。その猫の姿を見て、この曲が頭のなかに浮かぶ。歩き疲れては夜空と陸との隙間にもぐり込んで草に埋も...

  3. 雪に魅せられた殿様の『雪華図説』

    下総国古河藩の第四代藩主・土井利位(としつら)は、天保三年(1832)、日本ではじめて雪の結晶を科学的に観察した図鑑『雪華図説』を出版。降る雪を黒い漆器に受け、オランダ渡来の顕微鏡で覗きスケッチに残すことをくり返した、永年にわたる研究の精華であった。『雪華図説』より顕微鏡のレンズ越しに花開く「雪の華」の美しさに魅了された利位は、自身の調度品や着物に雪華模様をちりばめるほどの雪三昧。『雪華図説』の出版後...

  4. 江戸風流・紋切型を遊ぶ

    折りたたんだ紙にハサミでデタラメに切り込みを入れて開くと、花模様めいた幾何学模様が出現し、さらに折り目を増やして切ると模様は複雑さを増してゆく。子どもの頃、誰もが遊んだ切り紙の面白さは、広げてみるまで結果がわからないこと。広げるまでのときめきと広げた瞬間の驚き。●神仏とともにあった切り紙日本の切り紙は古くから祭祀に用いられてきた。七五三縄(しめなわ)に下げる紙垂(かみしで)、神霊の依代(よりしろ)...

  5. 秋田中央道路に武士の幽霊

    asahi.com 2008年9月15日の記事に「武士の幽霊が事故を呼ぶ? 秋田のトンネル1年で19件」。 秋田中央道路が開通して15日で1年を迎える。秋田駅の東西をつなぐ交通の激しいトンネルで、交通事故や車の故障などで通行止めになることも多い。ちまたでは「武士の幽霊が出る」などとうわさも流れる。事故多発の背景を探った。asahi.com より幽霊については記事にあるように、ありがちな都市伝説にすぎないのだろうが、竿燈まつ...

  6. 第五百號發刊(entry-500)記念號外

    電網日誌『二〇世紀ヒミツ基地』第五百號發刊(エントリイ)ヲ迎カエルニ當タリ、讀者ヘノ感謝ヲ込メテ、二〇世紀ヘノ「オマージュ」並ビニ「レクイエム」ヲ標榜スル[二〇世紀商會]ガ謹製シ、米國ノ飛行家アァト・スミス氏ノ操縱セシ複葉機ヨリ市内ニ撒布シタル引札(ビラ)ヲ茲ニ掲ゲ五百號ノ記念トス平成二〇年九月吉日...

  7. 十五夜の鎮守の森に遊ぶ・総社神社観月祭

    お月様にお供えする秋の七草のひとつ「ススキ」は天に属する神聖な稲科の植物、そして半透明に輝く白玉団子はお月様の象徴。観月祭と邦楽の夕べ平成二十年九月十四日於・秋田市川尻 総社神社境内(総社の森)主催・第二十九回お月見に年一度集う会好天に恵まれた今年の仲秋の名月、陽が落ちる頃、総社神社の境内に、かがり火が焚かれて恒例の観月祭がはじまる。月明かりのもと、神を降ろす神主の警蹕(けいひつ)の声が低く響き、...

  8. バニーヒップスのアイドル歌謡を聴く宵祭りの夜

    夕刻から日吉八幡神社秋季大祭(山王祭)宵祭りのお囃子も賑やかに、御差鉾(おさしぼ)が外町の町々を練り歩くこの日はトワイライトリレーコンサートの最終日。08.09.13サンパティオ大町、中庭直前にヤマハのコネで出演したギター青年の、いたたまれない演奏に場の空気が冷めるなか、最終日のトリは昨年と同じく「バニーヒップスwithワンダーランド」がくりひろげる昭和アイドル歌謡の世界。今年の衣装は売れないアイドル歌手のイ...

  9. 居酒屋建築を鑑賞する・駅前散歩

    秋田駅前の緑屋ビル(旧・やまじんビル)一階に、八月はじめにオープンした「まぐろ居酒屋 さかなや道場  秋田駅前店」。駅前は商店は減ったが食べ物屋が増えた。経営は秋田駅前と中通五丁目「ホテルグランティア秋田」内に「海鮮居酒屋 はなの舞」を出店する、東京のチムニーグループ。等身大のマグロなど派手なディスプレイが目を惹き、秋田の風景写真やナマハゲを配置して地方色を出してはいるが、全国チェーン店にありが...

  10. マルシメ鎌田のアイスクリーム

    終戦も間もない頃、マルシメ鎌田(現・(株)鎌田会館)の創業者社長は、一本1円50銭のアイスキャンデーをリヤカーにのせ、鈴を鳴らしながら街を売り歩いた。やがて、行商で稼いだ資金を元手に、秋田市柳町、次いで金座街に冷菓専門店をかまえ、製造・卸売ならびに冷菓製造機器・原料の販売を開始、それから数年後、○〆マークのアイスクリームは県内最大の冷菓ブランドに成長した。昭和26年 新聞広告「アイス饅頭・アイス天ぷら」...

  11. 接吻ヨリ甘イ・あいすまんじゅう

    近年全国に販路を広げた「白くまアイス」でお馴染み、福岡久留米の丸永製菓が製造販売する、小倉餡をバニラアイスでくるんだ冷たい和菓子「あいすまんじゅう」。冷菓にもかかわらず、中身の餡はトロリと柔らかく、バニラアイスと適度な甘さの餡が口のなかでマイルドなハーモニーを奏でる、その品質が評価され、「モンド・セレクション金賞」を 1996年から連続12年間連続受賞し、国際優秀品質賞に輝く名品である。丸永製菓によれば...

  12. アイスクリーム魔法瓶のある風景

    昭和34年 新聞広告昭和20年代から30年代にかけて活躍した「冷菓用魔法瓶」の広告である。広告主は秋田市南通で、大判焼き器、かき氷器、冷菓製造器、製造原料などを扱っていた本山商店。電気冷蔵庫が普及する以前、アイスクリームなどの冷菓はこの魔法瓶にストックされて販売されていた。内部がガラス製、またはステンレス製の魔法瓶と同様の構造の容器に氷菓を入れ、周囲からドライアイスで冷やす方式で、その構造上から容量は少...

  13. 天気予報も外れて・仲小路 JAZZ フェスの夜

    第2回仲小路 JAZZ フェスティバル2008.09.06-07於・日赤病院跡地心配されていた雨も降る気配のない残暑に、空の色が薄紅に染まる土曜夕刻からのメインステージは、ソルトレイク・シティ生まれ、秋田市新屋育ちのジョエル(Joelle)のキュートでパワフルな歌声が心地よく会場に響き、秋田市生まれのギタリスト・小沼ようすけが昨年と同じでテクニシャン揃いのトリオ(坂本竜太(b) 天倉正敬(ds) )で観衆を魅了、最後にジョエルの歌...

  14. 中土橋より広小路を望む夏の宵

    08.07広小路・古沢ビル(旧長崎屋)の一階で営業していた「ICI石井スポーツ」が8月で店を閉じ、秋田市御所野のショッピングモール「フレスポ御所野」に移転、この中旬にオープンする。08.09柳の向こうに灯が消えて暗く寂しい古沢ビル。そろそろこの物件も、ようやく動きだした中央街区の再開発を前に解体されるのか、それとも、アクセスが不便で人通りの少ない広小路をあきらめ、新天地に移っただけのことか。キャッスルの明か...

  15. 仲小路ビル・いまといつか・カジュアルアーツフェスタ’08

    AKITAカジュアルアーツフェスタ'088月30日 (土) ~ 9月7日(日)アトリオン/仲小路通り立体「こことどこか」田中真二朗於・仲小路ビル地階むきだしのコンクリートの地下室の闇に、祝祭空間を彩る「紅白幕」が垂れ下がり、その下に敷きつめられた土と草。それらと対峙する緑の丘陵のように空中にある飛行物体には、紅白模様の球体が箱に詰められて浮かぶ。夢のなかでいつか観たことのあるような、既視感をともなう非日常空間。「ここ...

  16. 増殖するシナプスの如く・カジュアルアーツフェスタ’08より

    AKITAカジュアルアーツフェスタ'088月30日 (土) ~ 9月7日(日)アトリオン/仲小路通りインタラクティブアート「きみに手紙を」沼田祐輔於・仲小路ビル1F若き作家が机に向かい描きつづける「きみへの想い」を綴った一葉の手紙は、脳内に張り巡らされたシナプスの如く増殖をつづけ、やがてその空間を埋めつくす。この場は作家の脳内だ。作家の想いと、観るもののまなざし(ことば)がコンクリートの脳内空間で交差し合い、インスピ...

  17. 浸食されたトイレ・カジュアルアーツフェスタ’08より

    AKITAカジュアルアーツフェスタ'088月30日 (土) ~ 9月7日(日)アトリオン/仲小路通りインストレーション・失われた価値観より「世界は雲の上にあった」小林 潤/市井 了・秋田大学工学資源学部環境物質工学科於・仲小路ビル3F廃墟となった地球の片隅の光景でもあるかのように、植物に埋め尽くされて本来の価値を失ったトイレ。_________関連リンクAKITAカジュアルアーツフェスタ2008関連記事AKITAカジュアルアーツフェスタ2006AK...

  18. 鳥の居る部屋・カジュアルアーツフェスタ’08より

    AKITAカジュアルアーツフェスタ'088月30日 (土) ~ 9月7日(日)アトリオン/仲小路通り丸岡慎一「bird」於・仲小路ビル2F一部屋まるごと丸岡ワールド神奈川県横浜市生まれ1998年 多摩美術大学大学院美術研究科修了2004年 ニッサン童話と絵本のグランプリ大賞2005年 ボローニャ国際絵本原画展入選2006年 ボローニャ国際絵本原画展入選2007年 秋田公立美術工芸短期大学 産業デザイン学科助教_________関連リンク丸岡慎一・作...