1. 二の丸運動場・千秋公園

    千秋公園二の丸運動場・大正期千秋公園入口から坂を上った場所に広がる二の丸は、遊具、鉄棒などが置かれた、明治の末ごろからの運動場であった。鉄棒の向こうに木馬と流動木、突き当たりに茶店らしき小屋。鉄棒の高さは一定だが、足場となる横木に高低をつけることで、二段階に調節している。明治三十三年六月、二の丸において野球大会開催、これが秋田における野球リーグ戦の嚆矢とされている。出場チームは秋田師範学校、秋田第...

  2. 居酒屋建築を鑑賞する・山王散歩

    鉄板焼居酒屋「ほら穴」・山王一丁目予約しなければ入ることのできない場合も多い鉄板焼きの人気店。傾斜のあるコンクリートの壁面に植物を植えた建物に看板があるのだが、そこにはイラストが描かれているだけで店名はない。これも一種の「看板のない店」。ほのかなあかりのエントランスに入ると、正面にチョークで書いたイタズラ書きのような店名と矢印。その方向にコンクリート外壁の内側にあたる通路を進むと店内への階段に至る...

  3. 街角の実りの秋を喰らいし日

    クロウメモドキ科ナツメ属・ナツメ(棗)かの岡に稚き時の棗かな 松瀬青々とびついてとるあをぞらの熟れ棗 飴山實下校時などの道すがら、艶やかに色づき、たわわに実ったナツメをもぎ取り口に入れる。おやつは街角にありて実るものであった。他人の家の庭に生えたナツメを無断で失敬するのだから、見つかったらこっぴどく叱られることもある。逃げても追いかけてくるオヤジに捕らえられ、げんこつを頂戴したあげく、 名前を聞か...

  4. エスカレータガールの復活・小田急百貨店

    当ブログのアクセス数は一日500前後に過ぎないが、昨22日の昼過ぎから急激に上昇、最終的には合計4904という、今までの記録をはるかに超える、異常なほどの数字をはじき出した。サーチワードでは「エスカレーターガール」が断然のトップ。リンク元をたどると、Yahoo!ニュースの「写真ピックアップ」のページに。該当の写真は「小田急エスカレータガール復活(産経新聞)」の記事のもので、そこから「エスカレーターガールの時代・...

  5. ケンポナシの香りと共に帰る道

    野山で熟した梨に似た微かな甘い香りに気づき、地面を目をこらして見ると、落ち葉に紛れてケンポナシの奇妙な果実が点々と。ケンポナシ(玄圃梨)暮るる日や落葉まじりの玄圃梨 吉田冬葉黒く丸い部分がケンポナシの実。これを指でほぐすと、固くて艶のある種が三粒飛び出す。梨のように甘い香りがするのは、先端に丸い果実を付ける果柄部(枝の部分)。秋になると果柄部が肥大、次第に熟して糖度を増し、晩秋から生で食べられるよ...

  6. 高砂堂のリンゴ園と「りんごもち」のこと

    明治三十年 新聞広告秋田市通町の老舗菓子舗「高砂堂」の創業者・塚本平蔵が経営したリンゴ園の新聞広告。藩政期は佐竹氏の家臣であった塚本家が経営した果樹園の場所は、旧城地にあたる手形上町(うわまち)。手形方面から明徳小学校へ向かう登り口、現在の知事公舎のあたり。平蔵は商品にならないクズリンゴを活用し、リンゴ羹、リンゴ酒、リンゴジャムなどを商品化。その時代、菓子の製造を目的に砂糖を使うには国の許可が必要...

  7. 28年ぶりに貸ボートが復活・千秋公園

    千秋湖畔秋祭り平成20年10月11日(土)~10月13日(祝・月) 会場・千秋公園ポケットパーク主催・ NPO法人ほっとアートあきた 共催・秋田市それを言うなら「湖畔」ではなく「お堀端」だろう、というヘンテコなネーミングへのツッコミはさておき、中心街区ににぎわいを演出する「千秋湖畔秋祭り」の一環として復活した期間限定の貸しボート。貸しボートといえば、かつては西側の穴門堀だったが、ポケットパークに乗り場を設けた関係で...

  8. 本丸にカヤの実落ちて陽が落ちて

    この時期、千秋公園本丸の佐竹義尭(よしたか)公銅像の裏、池と築山(つきやま)のある藩政時代の御庭に立つと、あたりが柑橘類に似て特有な、森の香りに包まれていることに気づく。足下に目をやると、落ちて間もない緑色や、熟してて褐色のカヤ(榧)の実が無数に。榧の実のそれと知らるる曲ある香 高澤良一てのひらは野にあり榧の実匂う鬼や 金子皆子榧の樹イチイ科の常緑針葉高木「カヤ」の名は、その枝葉をいぶして、蚊を追...

  9. 第一回「川反秋の夜祭り」点描

    第一回「川反秋の夜祭り」2008年10月3日・4日於・川反三丁目、四丁目、旭川主催・秋田川反げんき合同会社、川反外町振興会イベント・竿燈、土崎湊ばやし、西馬音内盆踊り、旭川カヌー体験、ヤートセ秋田まつり、ファイヤーダンスなど川反通りを夕方から歩行者天国にして先週の金曜と土曜に開催された「川反秋の夜祭り」の断片。那波家の水汲み場那波家の水汲み場から川反のネオンが映える旭川を下る夜のカヌークルージング。三丁...

  10. ドングリを拾いて帰る夕煙

    どんぐりの拾へとばかり輝けり 藤野智寿子ポツリ、ポツリと木の葉にぶつかる音とともに降り落ち、落ち葉にまぎれて艶やかに光るドングリを見つけると、ついつい拾い集めてしまうのは、 DNA に深く刻まれた、ドングリが大切な主食であった縄文時代の遙かなる記憶が意識下から蘇るためかもしれない。ミズナラのドングリ子どもの頃、金照寺山でよくドングリを拾った。金照寺山のある「楢山」という地名は「楢の木の山」なのだから、...

  11. 高松木材ビル解体・手形堀反町

    旧手形堀反町(千秋久保田町)の区画整理(秋田駅西北地区土地区画整理事業)が進み、取り残されていた昭和レトロ物件「高松木材ビル」の解体がようやく始まった。1980年代のテナントは、不動産屋、スポーツショップ、針灸院、美容院、編物教室、レンタルレコード店、喫茶店、書店など。一階に入っていた「あぶみ書房」は、週に一度は通って書棚を眺めるのが楽しみだった書店。ニューエイジ&ニューサイエンス系、アート系、ナチュ...

  12. アポロ11号は月に行ったっていうのに

    アポロ11号が月面に着陸し、アームストロング船長の左足が記念すべき第一歩を月面に印した、あの夏の日のことを覚えているだろうか。昭和44年(1969)7月21日(月)、日本時間の午前5時17分40秒、アポロ11号は月面の静かな海に到達、午前11時56分20秒、アームストロング船長、次いでオルドリン飛行士が月面に降り立つ。アームストロングは「これは一人の人間にとっては非常に小さな一歩だが、人類にとっては巨大な飛躍だ」と語っ...