草市・馬口労町

勝平得之「盆市」(部分)昭和二十一年
八月十二日、近郊の農家が集り、お盆に使う花、野菜、果物、精霊棚の供え物などを売る草市(盆市)は、秋田市内では保戸野通町と馬口労町で古くから続いているが、往年の情緒を今に残す草市は、馬口労町だけになってしまった。

馬口労町通り


盆花(精霊花)
盆の数日前に山に入り花を採ってくる行事は「盆花折り」などと呼ばれ、山にいる祖霊は盆花に乗って家に帰ってくるとの言い伝えもある。本来は購入するものではなく、それぞれの家が山から採取するもので、先祖迎えも兼ねた行為だったのだろう。

スーパーなどでは規格外れとされ見ることができない、伸び伸びと育った茄子と胡瓜

精霊棚の供え物

鬼灯(ホオズキ)と飾り灯籠
鬼灯は精霊の乗物、精霊を導く灯火。
食品に分類される飾り灯籠は、たけや製パン製。


笹巻き(三角ちまき)
本当はイグサで結ぶのだが・・・、これではせっかくの笹巻きが不味く見える。

秋田の郷土料理「赤ずし」
別名「盆ずし」「けいとまま」「赤まんま」など。
炊いたもち米を桶に薄く敷き、その上に胡瓜の塩漬、塩もみした赤紫蘇を加え、笹の葉をかぶせて漬け込む。精霊棚や墓に供え、砂糖や醤油をかけて食べ、客にもふるまう。サッパリとした味わいは、食欲の落ちる真夏にはかかせないものだった。

懐かしのマクワウリ
値札には「メ瓜」と記されていた。「メ」は「うめ(旨い)」という秋田方言でが短くなったもので、「メ瓜」とは「旨い瓜」の意。
子供のころ、夏になると瓜売りがやって来た。その売り声も聞いたような気もする。瓜は西瓜よりも大衆的な夏の風味だったが、プリンスメロンなど、より甘く安価な交配種が出回るようになって市場から消えていった。
最近では精霊棚も省略する家が増え、こんな草市の光景も、やがては消えてしまうのかも知れないが、後世に残して欲しい夏の風物誌である。
見たかったなぁ~
ABSラジオの交通情報で「本日は草市が開かれる影響で、馬口労町通りは通行止め・・・」と言っていましたが、草市っていう意味がわからず、何をやるのだろうと思っていました。
エントリーを拝見しまして・・・いやー、後学のためにも(BLOGネタとしても)是非一度は見ておきたいですねぇ。忘れないように来年のカレンダーには入れておきます。
私のような県外出身者が知らないのは勿論ですが、秋田市内に住んでいる人でも、お盆や正月は県内各所の実家に帰る人が多いので、案外と知られていないのではないでしょうか。秋田市内に残る貴重な伝統行事として、広報あきたに取り上げてくれても良さそうなものなのに・・・と思いました。