新屋「大門商店」の廃業と鹿嶋祭り

2018年8月31日、秋田市新屋表町の「大門商店」が店を閉じた。新屋のメインストリートで、野菜・果物を中心に、缶詰めなどの食料品から生活用品まで扱った店。

昭和の時代にはどこの町内にもあった、この手の個人商店も、生活環境の変化、経営者の高齢化を理由に店を畳むケースが跡を絶たず、もはや絶滅危惧物件。

「大門商店」の御主人は秋田市広小路の「木内デパート」に30年近く勤務して、名物社長・木内トモさん(文末に関連記事へのリンクあり)の薫陶を受けた世代。昭和40年代に家業を継ぐと、「木内」で学んだ顧客本位の教えを基に、接客と経営の改善に努め、利用者の信頼を集めた。

新屋・大門商店
▲大門商店 2004.06

「大門商店」では、毎年5月から6月にかけて、他の店では見られない、ある珍しい物が売られていた。それは新屋の初夏の風物詩、鹿嶋祭りに使われる鹿嶋人形の頭(かしら)。

店頭に「鹿嶋人形の頭あります」「笹巻きあります」の紙が貼り出されると、祭りが近いことを実感した。笹巻きもまた鹿嶋祭りに不可欠な伝統食で、鹿嶋人形の首にもぶら下げられる。

新屋・鹿嶋祭り
▲秋田市新屋・鹿嶋祭り 鹿嶋人形と笹巻き 2006.06

新屋・鹿嶋祭り
▲秋田市新屋・鹿嶋祭り 2006.06