1981 漫画喫茶「ちろりん村」仲小路ビルにオープン
▲1981(昭和56)年12月 新聞広告
あなたは5,000冊の漫画を読破するのに何日かかる!?
12月10日 AM8:00
仲小路ビル3階に漫画5,000冊を取り揃えた
話題のマンガ喫茶
コミック&喫茶 ちろりん村 OPEN!!お仕事前のいこいのひとときに、又モーニングサービス、ボリュームある昼食にご利用下さい。
コミック&珈琲
ちろりん村
秋田市中通二丁目1の48(仲小路ビル3F)
営業時間AM8:00〜PM8:00
1981(昭和56)年12月10日、秋田市「仲小路ビル」3階に漫画喫茶「ちろりん村」オープン。おそらくこれが秋田初の漫画喫茶。
漫画喫茶から発展した現代のネットカフェのような個室や客席の間仕切りもなく、時間制限もない。書棚に囲まれたオープンスペースに簡易なテーブルと椅子を配置した店内。
オープン時点で PM8:00 とやけに早い閉店時間は、間もなく PM9:00 までに延長される。
広告のイラストに当時の人気漫画『Dr.スランプ 』(ドクタースランプ)の登場人物が使われている点については、著作権者に関する記述が見当たらないため、無断使用の可能性が高い。
現在ならば新聞広告掲載基準によって掲載を拒否され、手直しを求められる案件だが、当時はまだ著作権に対する対応が今のように厳格ではなく、特に地方紙においてはルーズさが残っていて、たとえば同時代の80年代初頭に掲載された、ディズニーのキャラクターを使用した食堂の新聞広告(近日公開予定)のように、稀に著作権を無視した例が見られた。
県内では珍しい本格的な漫画喫茶=写真=がこのほど、秋田市中通のビル内にお目見えした。
今まで漫画を置いている喫茶店は数多くあったが、五千冊以上もそろえたのはおそらく始めて、八畳二間ほどの広さの店内には入口正面から壁という壁に漫画がギッシリ。つい立式の本棚まである。
客はやはりヤングが多い、という。午前八時の開店時間になると、出勤前のサラリーマンがモーニング・サービスを食べながらベージをめくる。また午後は、高校生や大学生が教科書はそっちのけでコーヒー片手に読みふける姿が見られる。いずれも無言。軽いポップ調のBGMを聴きながら「Dr・スランプ」などを読む姿は、やはり現代若者の一風俗か?
今後、客の要望にこたえて随時漫画を増やしていくそうだが、コーヒー一杯で何時間も漫画に熱中する人ばかりだったらどうするんだろう?
1981(昭和56)年12月21日『秋田魁新報』より
▲『週刊アキタ』より
店名の「ちろりん村」は、NHK総合テレビで昭和30年代の夕方に放送された連続人形劇『チロリン村とくるみの木』から拝借。
【なつかしの番組】「連続人形劇 チロリン村とくるみの木」(1956~1964年)会員コメントより ●suzumasaさん 主題歌が脳裏に残っています。後に12年後の『黄色い涙』劇中で、この主題歌が流れて50年経った今も忘れられません。 http://t.co/FYWi1TKo7c
— NHKアーカイブス (@nhk_archives)
1990年代前半、漫画喫茶「ちろりん村」閉店。
1991(平成3)年頃の「仲小路ビル」テナント
BF
ぱいたん倶楽部
占い館1999
やき鳥 車
1F
私の部屋 (株)平惣
ポルト
弥助そば 秋田店2F
れもん
朱鷺
デジャ・ブー
ダックスフンド3F
トライアングルクラブ
ちろりん村
メゾ148
▲2004.07 仲小路ビル
2004(平成16)年撮影の写真から看板類に記された店名を拾ってみる。
まず1階入口付近に「冷し中華」の幟旗と「ぱいたん倶楽部」の看板がある。1階エントランスから階段を降りた突き当たりの地下1階、豚骨の香りが染みついたラーメン屋「ぱいたん倶楽部」は当地で創業し、2020年現在、秋田市広面字樋ノ沖で営業中。
入口の左手にスパゲッティ&ワイン「ポルト」。そば粉を使った生地で梅餡をつつんだ、そばまんじゅうが名物だった「弥助そば」秋田店。角地の雑貨店「私の部屋」と並ぶ。
当ビルで長く営業した「ポルト」は、秋田市山王にイタリアンレストラン「ミラノ食堂」と名を変えて移転後、2017(平成29)年「サンパティオ大町」内に移転「ミュージックバー ポルト」と、元の店名に戻った。
2階のテナントはスナック「朱鷺」広島風お好み焼き「れもん」定食屋「お万菜」。
その後の「仲小路ビル」については下記関連記事を参照のこと。