1986 キャッスルプラザに透明エスカレーター登場
▲キャッスルのシースルーエスカレーター
▲2015.11
▲2019.05
▲2019.05
今回は「秋田キヤッスルホテル」広小路側の、サンルーム型シースルーエスカレーターのお話し。
1986(昭和61)年6月、その初期形態であるチューブ型シースルーエスカレーターが登場する。
▲1986(昭和61)年 新聞広告
当時の「秋田キヤッスルホテル」(旧・秋田第一ホテル) 商業棟の名称は「キャッスルプラザ」(旧・秋田プラザ) 。「秋田プラザ」時代のことは文末の関連記事に。
知性が、ぐぐっと接近・・・。東北では新登場のシースルーエスカレーターは「知性のワンダーランド」3階への、とても便利な近道です。
ビデオホール誕生!
3F・キャッスル新星堂店内に、100インチのビデオプロジェクター装備の本格的なビデオホール完成。
6/21(土) 2:00pm〜 MUSIC FLASH & 渡辺美里
6/28(土) 2:00pm〜 DAYS VIDEO CONCERT
「知性のワンダーランド」とは、なんとも大袈裟なコピーだが、当時カルチャー・フロアであった3階へ直通する「東北では新登場のシースルーエスカレーター」の誕生と同時に「キャッスル新星堂店」内に「ビデオホール」オープン。最新のMVが無料で見ることができた。カルチャー・フロアの変遷などは後半で。
「キャッスルプラザ」の初期形態のチューブ型シースルーエスカレーターを製作するにあたって手本としたのは、1983(昭和58)年、東京都練馬区東大泉にオープンしたショッピングセンター「プラッツ大泉」のシースルーエスカレーターだろう。
▲プラッツ大泉(西友 リヴィン オズ大泉店)
外壁を這うように配置された、SFチックなチューブ型エスカレーターが印象的だ。
チューブ型シースルーエスカレーターの起源をさかのぼると、1977(昭和52)年、パリに落成した「ジョルジュ・ポンピドゥー国立芸術文化センター」に到る。
▲ポンピドゥ・センター
工事の足場が組まれまま残されたような外観の「ポンピドゥ・センター」の造形は当初、批判の的となった。
▲「横浜そごう」との業務提携後サンルーム型エスカレータに
1991(平成3)年、チューブ型シースルーエスカレーターが現在のサンルーム型に改装される。
この年、経営不振がつづき、リニューアルを重ねていた「キャッスルプラザ」は「横浜そごう」との業務提携を開始。
それまでビル全体の運営を行っていた「秋田ビル」は、商業棟である「キャッスルプラザ」の運営を「横浜そごう」に委ねる。
「横浜そごう」100%出資の現地法人「秋田アレックス」を設立。「都心のセンスあふれるおしゃれなファッションスクエア」をコンセプトに全面改装。高級婦人既製服を中心とした品揃えで、1991(平成3)年9月リニューアルオープン。
それまでのチューブ型シースルーエスカレーターの外観がコンセプトにそぐわなかったためか「キャッスルプラザ」のリニューアルに際してサンルーム型に改装された。
それまで、書店、CDショップ、ソニーショップなどが入るカルチャー・フロアであった3階は、銘菓・日用品・寝装品・食料品・贈答品などを扱う「そごうギフトショップ」が大半を占めるようになり、目当ての店もなくなった自分は、ほとんど入館することがなくなってしまった。
「そごうグループ」の歴史を網羅したブログ「黒崎そごうメモリアル」に「横浜そごう」時代の「キャッスルプラザ」に関する記述があったので引用させて頂く。
株式会社「秋田アレックス」秋田県秋田市 資本金 2,000万円 「横浜そごう」子会社
キャッスルプラザ
1991年9月開館。6,823平米。秋田市中心部に位置するプレステージホテル「秋田キャッスルホテル」内のショッピングエリア。横浜そごうの子会社であるデベロッパー「秋田アレックス」が企画・運営していた。“サロン・ド・キャッスル”をコンセプトとしたハイグレードな店作りを展開。テナント数42店舗。モウワードブティック、ワールドキャビンなど。
ブログ「黒崎そごうメモリアル」より
▲キャッスルプラザ3階のテナント変遷
キャッスルプラザ(旧・秋田プラザ)3階のテナント変遷から、最初期と80〜90年代初頭を抜萃してみる。
1970(昭和45)年7月「第一ホテル・秋田プラザ」が入居する「秋田ビル」オープン。
開業当時「秋田プラザ」には衣料品の「辻兵」「森長」「佐々忠」菓子補「榮太楼」「かおる堂」駅前の「金萬」「マルシメ鎌田」「金鳥園」など、秋田市内の有名商店を中心に70店ほどが名を連ねたが、数年後にはその多くが撤退。
- 開業当初、1970(昭和45)年の「秋田プラザ」3階テナント
- ゲームセンター「金万遊園」(金萬)
- お好み大食堂「○〆(マルシメ)鎌田」
- 総合家庭用品「ボンマート」
- 「なめかわカメラ」
- 「タキタ美容室」
- 「秋田プラザ家具部」
- 和風レストラン「串一」
- 催事場
まだカルチャー的なものは催事場だけだが、1階に「三浦書店プラザ店」が入居している。
1981(昭和56)年12月「秋田プラザ」を「キャッスルプラザ」と改名。
昭和60年代初頭「キャッスルプラザ」3階の催事場およびコミュニティ広場でアイドルによる物販、また「FM秋田」の番組「スプラッシュサウンド」の公開録音なども行われている。
父親の転勤で「秋田城南中学校」に在籍したことがある山瀬まみ。その父親が支店長を務めていた「森永レストラン」は、山瀬まみ来秋時、「マルサンショッピングセンター」から「キャッスルプラザ」2階に場所を移し、南欧風レストラン「morinaga カプチーノ」の店名で数年間営業していた。
- 1987(昭和62)年3月「キャッスルプラザ」3階テナント
- キャッスル ブックセンター
- キャッスル 新星堂(レコード・CD・ミュージックテープなど)
- キャッスル ロックイン 新星堂(楽器・スタジオ)
- キャッスル フォト(カメラ・DPE・スタジオ)
- ソニック プラザ(SONY製品 オーディオ・ビジュアル)
- コーヒーショップ ブラジル
- キャッスルホール(催事場)
- ビューティーサロン・タキタ(美容・着付)
- キャッツ(ファンシー雑貨)
カルチャー・フロアとして最も充実していた時期。のちに「ソニック プラザ」は店名を変えて保戸野学園通りに移転。「新星堂」は秋田市大町二丁目「ファッションアベニューAD」に移転する。
1・2階はブティック、雑貨など、大半が女性向けの店。
- 1991(平成3)年11月「キャッスルプラザ」3階テナント(横浜そごう時代)
- そごうギフトショップ キャッスルプラザ
- ソシエ・レディスクラブ秋田(エステサロン)
- シェイプアップスタジオ・ミューズ
- キャッスルギャラリー
- その他
2000(平成12)年7月「そごうグループ」が、約1兆8,700億円の負債を抱え、民事再生法適用申請。「横浜そごう」が100%出資していた「秋田アレックス」も解散に到る。
「横浜そごう」が「キャッスルプラザ」の運営から手を引いたのち、1〜3階の商業棟は「キャッスルズアーケード」と改名。
2011(平成23)年の大幅なリニューアルで、2階が複数の医療施設で構成される「メディカルモール」となってからも、一部を「キャッスルズアーケード」と称していたが「秋田キャッスルホテル」のホームページを見ると、現在は「キャッスルズアーケード」の名は消え「秋田キヤッスルホテル 館内施設」に分類されている。現在のテナントは下記関連リンクに詳しい。
最後に、今ではほとんど使われることもなくなった、シースルーエスカレーターの画像を。
▲2019.09 三菱製エスカレーター
▲2019.05
▲2019.05
エスカレーターの運行は2階まで、3階へ向かうエスカレーターは停止中。
▲2019.05 千秋公園を望む
▲2006.12
向こう側に「木内」の側面。上掲画像に写る 1991(平成3)年の改装時に設置されたシャンデリアは今、取り外されている。
▲2018.12
▲2019.10
▲2018.09
▲2010.05
▲2015.10
▲2016.04