さまよえる稲荷神社・すずらん通り一区

すずらん通りの稲荷神社
▲すずらん通り一区 2020.08

秋田市の川反通りに近い、すずらん通り(三丁目小路)一区の道端に、背丈ほどの小さな稲荷神社がある。その名は「正一位発展稲荷神社」。すずらん通り商店街の守り神だ。

やけに安っぽい造りで、大きさからして祠(ほこら)と言ったほうが的確な当神社は、初めからこの場所にあったわけではなく、数回の遷座(せんざ)、つまり移転を重ねるごとに規模を縮小し、今(2021)から34年ほど前に現在地にやって来た。

遷座(せんざ)
神仏の座を他所へうつすこと。また、うつること。

すずらん通りの稲荷神社

すずらん通りの稲荷神社

現在の「すずらん通り商店会」の前身である「三丁目小路発展会」が商売繁盛を願って、稲荷神社の総本宮、京都「伏見稲荷大社 」から勧請(かんじょう)、昭和13(1938)年「正一位発展稲荷神社」が創建される。

勧請(かんじょう)
神仏の分霊を請じ迎えてまつること。

当初は外町(とまち)の町内に見られるような、数人が入れるほどの大きさの、ごくありふれた神社だった。

創建された場所は、すずらん通りの突き当たり。旧・秋田市柳町に存在した「秋田劇場」の向かい。


▲秋田市柳町「秋田劇場」

秋田市柳町
▲旧・秋田市柳町 2021.09

上掲画像右手が「秋田劇場」跡地。左手の駐車場のあたりに最初の「正一位発展稲荷神社」があった。

秋田ピカデリー劇場跡
▲「秋田劇場」「秋田ピカデリー劇場」跡地 2021.09

戦後になって「秋田劇場」跡地に建てられた映画館は「秋田松竹座」「秋田第一劇場」「秋田ピカデリー劇場」と館名を変え、昭和49(1974)年9月閉館。長いあいだ駐車場となっていた映画館跡地に、平成30(2018)年「セブン-イレブン秋田大町4丁目店」オープン。

「秋田劇場」前の借地に創建された当神社はその後、寺町の寺院境内などを経て。現在地のすずらん通り一区に移る直前は「秋田ピカデリー劇場」の裏手、今の「セブン-イレブン秋田大町4丁目店」の店舗のあたりに、同劇場経営の貸し車庫と並んで、北向きに鎮座していたのを覚えている。

昭和62(1987)年頃、一画に「正一位発展稲荷神社」が鎮座する「ピカデリー駐車場」が売却されることに。

またしても遷座を余儀なくされ、行き場を探していた当神社を、当時「すずらん通り商店会」会長を務めていた石井氏が引き受けることとなり、同氏経営の「石井萬年堂」(石井メガネ) 敷地内に遷座。合計四度の遷座を重ねるごとに規模を縮小して今に到るわけだが、これほど遷座を重ねた神社も珍しい。 

すずらん通り石井萬年堂
▲「石井萬年堂」跡 2013.04

映画館帰りの客で夜までにぎわっていたすずらん通り商店街も、近年は年を追うごとに商店数を減らし「石井萬年堂」も、平成に入る頃に店を畳む。

私有地に鎮座する同神社も、また遷座されるか、いずれは廃社となって近くの神社に合祀され、姿を消す運命なのだろう。

かつては万年筆専門店として名を馳せた「石井萬年堂」については。また別の機会に。

suede

場所を移しても、残しておいてほしいですね。
街がかわっても、ずっと昔からそこで人々が一生懸命に人生を送ってた証しになると思う。

2021.11.14 Sun 10:21
ネギ

石井万年堂について

いつも楽しく拝見しています!

石井万年堂について教えていただきたいです!お話の続きが気になりまして。。

どうぞよろしくお願いします!

2023.02.26 Sun 14:10