昭和残影「秋田港名店街」土崎港アーケード街

川端たぬき

1964(昭和39)年7月17日、秋田市土崎港の中心街・加賀町(現・秋田市土崎港中央三丁目)に、アーケード商店街「秋田港名店街」がオープンする。

「秋田港名店街」オープン日は、秋田に夏を告げる土崎湊曳山祭り が始まる3日前。祭りの人出を見込んで、この時期を選んだのだろうか。

この年の秋には東京オリンピックが開催され、日本は高度経済成長期の真っ只中だった。

約990平方メートルの敷地の両側に並んだ平家建て長屋を、透明な強化アクリル製採光パネルのある屋根で覆った全蓋(ぜんがい)式アーケード街。記事後半に画像あり。

すでに秋田駅前に全蓋式アーケード街「平和通り」が存在していたので、「秋田港名店街」が秋田市で2例目の該当物件だったと思われる。

秋田港名店街
▲新聞広告

秋田港名店街

秋田港名店街

営業時間 9時〜7時
定休日 毎月第1 第3火曜日
飲食・喫茶 PM 11. まで

銘茶「繁田園」直売所
桜皮細工「藤木」直売店
ふるさとの味と香りの店「栄太郎」
オモチャの「ミウラ」
楽器「内外ピアノ」
靴とハンドバック「靴の秋川」
メガネ・時計「和田」
ドライ専門の店「小野」
美容室「千田」
東芝専門店「松沢デンキ」
印章・表札「フジタ印房」
総合食料品店「紅屋」
カメラ・カラープリント「大野ラボ」支店

純喫茶「ボニータ」
クラブ「河」
スタンドバー「ペンヤン」
やきとり 季節料理「一休」

土崎の商店に加えて、秋田駅前・金座街「オモチャのミウラ」、茶町「繁田園」 、大町二丁目「秋田名店街」から伝統工芸「藤木」、川反二丁目の菓子補「栄太郎」(榮太楼) と、秋田市中心部の有名店が出店。

土崎地区周辺および追分方面から秋田市中心部に流れていた客足を止め、また秋田港へ入る国内外の船員たちもターゲットした商店街であったが、次第に商店数は減り、やがてスナック・居酒屋などの飲食店が主体となる。正面入口に掲げられた看板も「秋田港名店街 飲食店街」と書き改められた。

  • 1985(昭和60)年時点のテナント
  • ペンヤン
  • ラ・ボニータ
  • 二輪車
  • トップ
  • 寿し春
  • ゴールド
  • 一石二鳥
  • 芽女
  • 花籠
  • 味の磯
  • 王芳
  • 繁田園
  • 和田メガネ
  • カンナ化粧品
  • 美容室 千田

すずらん通りで開業し山王に移転した中華料理の人気店「王芳」の名がみえる。この時代、同店は大町五丁目に支店を出していたが、土崎にも存在したことは知らなかった。

秋田港名店街
▲2003.09

上掲画像、2003年の時点で右手に「繁田園」左手に「秋田東急クリーニング」。

秋田港名店街
▲2003.09

秋田港名店街
▲2003.09

秋田港名店街
▲2004.03

秋田港名店街
▲2008.07

土崎湊曳山祭り の屋台が並ぶ上掲画像、2008年7月の時点で「秋田東急クリーニング」跡に、食堂「香味」が入居。

オープンから50年弱が経過した、2012年11月「秋田港名店街」解体。その跡地は駐車場となった。

秋田港名店街
▲中央に「秋田港名店街」2012年4月撮影


▲「秋田港名店街」跡 駐車場

加賀町の老舗と言えば「秋田港名店街」跡の斜め向かいの「舛屋薬局」。

その店舗は1869(明治2)年の建築と伝えられる、外壁を漆喰塗(しっくいぬり)にした塗屋造(ぬりやづくり)の名建築であったが、2012年5月に解体され、新店舗となってしまった。詳細は以下関連リンク先に。

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