秋田駅前「CURRY SHOP かまくら」秋田初のカレー専門店
「イトーヨーカドー」秋田店(現・フォンテAKITA)7階レストラン街にかつて存在した、カレーショップ「かまくら」のマッチ箱。
80年代のものと思われ、ラベルの状態は良好だが、湿気でマッチ棒の頭薬がボロボロになっている。
ラベルの表面・側面・裏面をつなげると、こんなデザインに。
CURRY SHOP かまくら
秋田駅前イトーヨーカ堂7F
AM10時〜PM9時30分 定休日 火曜日昭和44年からカレー一筋という『かまくら』。秋田駅前にまだヨーカ堂もミスタードーナツ店もなかった時代から多くの人々に親しまれてきたカレー屋さんである。当時はカレー一杯が150円。手軽に食べられて栄養満点!というコトで店には学生など若者が一杯。「おいしければそれだけでやっていける。だからカレーだけのメニューで昔からがんばっています。」とはご主人の信太さんの弁。開店当時からの常連さんも数多いとのことだ。
味の秘密は約8種類のスパイスを用いたルゥー。そのルゥーをじっくり寝かせ特製のスープでのばしたこのカレーの調理法は20年来、がんこに貫き通されている。お米の質がいいのもこの店の特徴。
時代の流れで店内の雰囲気もずい分お洒落に変身したが、ここは秋田カレーの発祥の場といえる。
月刊『あきたタウン情報』1988年3月号より
入ってすぐ右手のカウンター席奥の調理場に立つお二人の姿がなつかしい。
秋田駅の真正面、南角地にあった老舗米穀店「信太米店」(現・信太駅前米店) の裏手、中央通りに面した場所に、1969(昭和44)年、同米店の親族である信太氏が経営するカレーショップ「かまくら」がオープンする。おそらくこれが秋田初のカレー専門店だろう。
カレー150円という創業当時の値段は、1969(昭和44)年の並ラーメンが80円ほどなので、特に安いわけではないが、記事にあるように主に若者が集まる人気店で、身内が米屋だけあってご飯がうまかった。
カレーショップ「かまくら」が創業した秋田駅前南地区商店街の跡地に「イトーヨーカドー」秋田店を核テナントとする「秋田ショッピングセンター」(現・フォンテAKITA) がオープンすると、同店は、7階のレストラン街に地権者として入居。
CURRY SHOP かまくら
開店以来継ぎ足している
コクのあるルーが自慢のお店昭和44年に開店してから約33年目という、カレー店の草分け的存在。このお店の「ドライカレー」は、ご飯と一緒に炒めるのではなく、ご飯の上に乗せるという独特のもの。ニンジンやタマネギなどの野菜や挽き肉などを加えたカレーのルーを、水分が飛ぶほど長い時間炒めているので、野菜の甘みが際だっている。
開店以来継ぎ足し続けているカレールーは、仕込んだ後さらにスープを加えて伸ばすという2段階の製法。そのため、コクのある旨みが実感できるのだ。「チキン骨付きカレー」は、箸で崩れるぐらい煮込んでいるチキンが印象的。いずれもセットメニューで、サラダとコーヒー、コーラなどのドリンクが付く。
月刊『あきたタウン情報』1998年8月号より
この時代、もっぱら食べたのがサラダとコーラがセットになったドライカレー。トッピングされたドライレーズンがアクセントとなった味わい深いドライカレーとコーラの相性が抜群だった。
▲2004.01
ショーウインドウに「都合により午後三時で閉店・・・」の貼り紙があるが、御主人が体調を崩されたとかで、このあとまもなく店を閉じてしまう。
かつては15店ほどの飲食店が入居していた7階のレストラン街も、2020年6月、同フロアに唯一残っていたパーラー「パルルやちよ」が閉店したことで飲食店が消滅、約40年におよぶレストラン街としての歴史に幕を下ろす。
秋田駅前南地区商店街から「秋田ショッピングセンター」までの変遷、「パルルやちよ」の姉妹店「喫茶やちよ本店」のことなどは下記関連記事に。
「パルルやちよ」や、7階のレストラン街の今昔についてはまた日を改めて。