秋田県アホ・バカ分布図

川端たぬき

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この図は1991年に、朝日放送「探偵ナイトスクープ」のスタッフが全国市町村の教育委員会に配付したアンケートをもとに作成した「全国アホ・バカ分布図」の一部。

バカとアホの境界線はどこにあるのか、という視聴者からの疑問が発端になり、分布調査は全国に展開し、異例の長期シリーズ化。その年の放送賞を総なめ。言語学の素人であるスタッフによる取材結果は学会で発表され、その後出版された「全国アホ・バカ分布考」はベストセラーになった。

秋田県内で使われている主なものは、ホンジナシ系、バカ系、ハンカクサイ系、タクラダ系。

    バカ(バガケ)系
三日月  ホンジナシ系
    ハンカクサイ系
    タクラダ(タクランケ)系

「ホジナシ」のホジは仏教用語の「本地」(仏・菩薩の本来の姿)から来ていて、後に「正気・本心」という意味に使われた。つまり「ホジナシ」は、その本地(正気)が無い者、しっかりした意識が無いヤツを意味する。秋田では子供に「ホジついてきたなぁ」(しっかりした子供に成長してきたな)とも使われる。

バカ系はややこしいので省略。

「タクランケ」は室町時代の京都人が中国に実在すると信じていた、麝香鹿そっくりな動物「田蔵田・タクラダ」から発生したことば。中国の猟師に高価な麝香鹿と間違って殺され、捨てられてしまうマヌケで愚かで悲しい動物。

「ハンカクサイ」のハンカは「半可」。「バガケ」「ホジナシ」「タクランケ」は京都から広がった中世のことばだだが、これは江戸で生まれた比較的に新しいもので、吉原の遊女が通人ぶった客の野暮ったさを皮肉る「半可通」の「半可」が語源。秋田では「小生意気」とか「キザ」の意味合いで使われることが多い。

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