招き猫昨夜の客をニャンとした

昭和二十四年 広告
戦後まもない時代の、川反「左の左」の小粋な広告。「左の左」と書いて「さのさ」と読む。
川柳風のコピーが可愛く、かつ艶っぽくもある。「まねぎねこ」と秋田訛りなのも良い。
うしろを向いた猫の尻尾は、歳を重ねた化け猫のように二股に割れている。さては老練な雌猫だな。招き猫、昨夜の客を・・・
ほかにはこんなのも。

昭和二十二年 広告
これが初の広告と思われる。「左の左」と書いて「サノサ」と読ませることを、さりげなく示しているのが心憎い。

昭和二十四年 広告
可笑しくてセンスのあるコピーが人の眼を惹きつける。
「左の左」の川柳広告シリーズに、昭和二十年代秋田新聞広告賞を贈呈したい。賞品は猫がうっとりとしてしまうマタタビにしよう。
「左の左」があったのは「第一会館 川反店」の場所、明治末、この地に市内唯一の寄席「娯楽館」開業、その後映画館となるが、大東亜戦争末期に建物疎開により取り壊される。
戦後になって、その映画館で活動弁士(無声映画の解説者)として活躍していた森昭という人が、料亭「左の左」を開業したのだという。これらの洒脱なコピーも、この人物の手によるものなのかも知れない。