ハレの日の「べっこう寒天」

椎茸・卵・砂糖でつくる醤油味のカンテン料理は、我家では正月の定番だった。
もともとは「べっこう」「えびす」「べろべろ」「ゆべし」などと呼ばれる、金沢を中心に北陸に広がる料理らしい。
「べっこう」という命名は、「鼈甲・べっこう」の質感・色彩に似ているため。「べろべろ」は食感からの命名。懐石料理では、とき卵がつくりだす模様から「むら雲寄せ」という風流な名前も。
山形や秋田の地菓子なども北陸系が多いので、同じ北前船ルートで秋田にやってきたのだろう。北陸から土崎に移住した人たちから広まり、定着したと考えてもよい。
ただ、秋田では椎茸を使うが、北陸では使わない。この料理は椎茸のダシと香りが特徴なので、同じ系統にありながら他とは全く違った料理になっている。