赤ずし・夏の郷土料理

川端たぬき



「赤ずし」、別名「盆ずし」「けいとまま」「赤まんま」「赤もの」など。「けいと」は、この時期に咲く「鶏頭」の紅い花からのネーミングか?

県北から横手地方の山間部に伝承されている郷土料理で、自分が子どものころは食べたことがなかった。

炊いたもち米を桶に薄く敷き、その上に胡瓜または白瓜の古漬、塩もみした赤紫蘇を加え、笹の葉をかぶせて漬け込む。数日から一週間ほどで、ほどよく発酵し食べごろになる。

梅酢に漬けた赤紫蘇を混ぜる場合もあり、この方法ならば、漬けてすぐに食べることができる。

精霊棚や墓に蓮の葉にのせて供え、客にもふるまう。ときに砂糖や醤油をかけて食べ、酒の肴にもなり、味の濃いものは御飯の上にのせて茶漬けにする場合もあるという。

さっぱりとした味わいは、食欲の落ちる真夏にはかかせないものだった。

写真の「赤ずし」は、馬口労町の草市に出店している家から購入したもの。定番の赤紫蘇、胡瓜の古漬のほかに、ミョウガ、菊花、粒のままのブドウ(これが以外にマッチしている)が入り、ほんのりとした酸味と苦味が上品で、口当たりのさっぱりとした珍味である。

ブドウといえば、秋田には山ブドウともち米で漬ける「ブドウずし」がある。山ブドウの代わりにコハゼ(ナツハゼ)を用いる「コハゼずし」も同様なもので、「赤ずし」とともに植物だけでつくる珍しい発酵食品である。

秋田に近い津軽の西北部には、「赤ずし」に似た「すしこ」という料理があるが、こちらは秋の稲刈り時に体力をつけるための料理という。

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草市・馬口労町(2005)

関連リンク

赤もの漬けレシピ(あきたファン・ドッと・コム)
まま(赤)漬けレシピ(秋田地域振興局農林部)
コハゼが加えられている
まま(赤)漬けレシピ(JAあきた湖東)
ミョウガにブドウと菊が入っており、今回の写真のものとほぼ同じ

すしこ 01(あおもり食の文化伝承財レシピ)
すしこ 02(あおもり食の文化伝承財レシピ)



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