秋田駅前に丸ビルがあったころ

昭和四十年代、秋田駅前中央通り、現在の有明ビルの場所ににあった「丸ビル」。
三十年代から四十年代にかけて流行した円形校舎と同様な構造の飲食ビルは、四十一年ころ「駅前に川反の味を」のキャッチフレーズで誕生、正式名称は「ニューあきた」。
円形校舎といえば、市内には楢山の南中学校、茨島の秋田短大にそれがあった。南中が大堰端に移転したあと、円形校舎は婦人会館に転用されて余命を保っていたが、しばらく前に取り壊されてしまった。採光の面では理想的だった円形校舎も、扇状の教室は使いづらく、特殊な形状の窓ガラスがある教室は、冬になればすきま風が吹き込んで寒々としていたことを思いだす。

昭和四十二年(1967)・新聞広告
一階が札幌ラーメン、洋食、甘党コーナー、二階は少人数の宴会もできる辛党コーナー。
ラーメンコーナーは、北海道「札幌ラーメン時計台」からノレン分けした人気の店、とくに味噌ラーメンのとろりとして濃厚でありながらも、さっぱりとした味が忘れられない。安くて旨い洋食・喫茶コーナーも、若者を中心にいつもにぎわっていた。
当初、喫茶コーナーでは、秋田で評判の洋菓子店だった「ランカシャ」のケーキを安く食べることができたという。

昭和四十年(1965)・新聞広告
昭和四十六年(1971)ころには、一階が「スナックレストラン・ニューボン」、二階は「嶋和」の名称で営業している。

周辺地図・昭和四十五年(1970)頃
「あさひタクシー」の隣には、「秋田で二番目に安い」がキャッチコピーだった旅館「ナイキ会館」、今と同じところに「加賀屋書店」、その向い、現秋田西武の一角には「喫茶エルザ」があり、加賀屋で買った本をここで読むのが定番だった。「加賀屋書店」の裏側は、格安の邦画二番館「テアトル秋田」。

丸ビルの跡地に「有明ビル」が竣工したのは昭和四十九年(1974)。
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