秋田一の高層楼・竹村呉服店

昭和二年・書籍広告
嘉永六年(1853)の創業という大館の老舗呉服店「竹村呉服店」、のちの百貨店「正札竹村」が、ハイカラな高層店舗をオープンさせたのは、大正九年十月のこと。
前年の大館大火で消失した街並に出現したルネッサンス様式の建物は、当時秋田県内では一番の高層建築で、開店するや近郷近在からは大勢の見物客が押し寄せた。
木内の屋上展望棟、本金タワー、そしてまぼろしに終わった協働社タワーと、昭和三十年代から秋田市のデパートでは高層からの展望を競い合ったが、それをさかのぼること四十年以上前に誕生した高層楼「竹村呉服店」は、秋田における近代商業ビルのさきがけと言えよう。

大館市大町通り・大正末頃の絵葉書から
「竹村呉服店」の後ろに「小野呉服店(丸小)」。竹村と競って高層楼を建てたが、無理な木骨建築が露呈し危険になったため、四、五階部分を解体して改装後銀行が入居したという。

部分拡大・竹村呉服店と小野呉服店

部分拡大・写真の左手前の商店
「つるや」の看板が掲げられた手前の商店は、今は御成町にある「ソーイングセンターつるや」だろうか。隣の小間物屋らしき店舗には「アルボース(石鹸)」「キレー水(化粧水)」の看板、その奥には「北秋名物 大館風景 絵はがき」と墨書された立て看板もみえる。
この街並も昭和三十一年、再びの大火で消失する。
平成十三年七月、老舗百貨店「正札竹村」倒産。
二月十七日まで東京において、大館市出身のクリエーターが結成したアートユニット「0/DATE」(ゼロダテ)による、「正札竹村」をテーマにしたインスタレーション作品を中心とした展覧会が開催されている。
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大館アートユニット ”ゼロダテ”
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