広小路でピストルを買う

「秋田銃砲店」大正四年・新聞広告
我が国ではかつて、県知事宛の書類に記名捺印し、所轄警察署に提出するだけで、簡単に拳銃を購入することができた。
明治末の護身用輸入拳銃の値段は、普及品で二円五十銭から、高級品で三十五円までと様々。婦人用の小型拳銃もあった。ちなみに、この時代の教員の初任給は十一円ほど。◎護身用拳銃ハ‥‥‥財産ノ有無ト身分ノ高低ニ拘ワラズ何人モ買受能フモノナリ
◎護身用拳銃ハ‥‥‥出願許可ノ手続等ハ世人ノ思考スル如ク面倒ナル者ニ非ス
◎護身用拳銃ハ‥‥‥取扱簡単ナルヲ以テ老人婦女子モ容易ニ使用シ能フ
◎護身用拳銃ハ‥‥‥一人ニテ何挺ナリモ認可ヲ得テ携帯所有シ能フ
◎護身用拳銃ハ‥‥‥初心者モ十五六発試射ヲ為セバ容易ニ妙所ヲ悟リ得ヘシ横浜市・金丸銃砲店「銃砲型録」明治三十一年より
商家や資産家などのほとんどは護身用に拳銃を所持していたが、終戦後、GHQの指示を受けて定められた銃砲等所持禁止令により没収されることになる。もっとも戦争末期の金属供出により、その数も少なくなっていたと思われるが。
銃砲類が自由に購入できた時代、拳銃の所持が犯罪の抑止力にはなれども、それによる犯罪は少なかった。