笹巻きを食う・旧暦五月五日
秋田では旧暦の五月五日を端午の節句として笹巻きをつくる。今年は六月十九日が旧暦の五月五日。
子供のころ、隈笹(クマザサ)の若葉が適度な大きさに育つこの時期になると、父と一緒に生家に近い金照寺山に、笹巻きに使う隈笹を採りに出かけるのが恒例の行事だった。
「ちまき笹」の通称がある隈笹の若葉は、香りが良く、柔らかくて加工しやすい。母は一晩水に浸してザルで水を切ったもち米を、器用に二枚の笹の葉で包み、イグサで結び茹であげる。


写真は、通町「せきや」で「大久保笹巻き」の名で販売している、小ぶりで扁平気味の笹巻き。関谷さんは大久保出身の、元々は荷物を背負い行商したガンガン部隊だから、大久保特有のつくりかたなのかもしれない。

結ぶイグサと笹の移り香が、ほのかに漂うもち米に、青きな粉をまぶして食べる笹巻きは、初夏の郷愁の風味。
チマキとは本来、茅(チガヤ)の葉で包んだことからの名だが、その形は地方によって様々で、米を包む材料も、竹の皮、笹、薦(コモ)、菖蒲などが使われ、それぞれの名で呼ばれていて、秋田県内でも、もち米粉とうるち米粉を混ぜ水でこねて、笹団子をつくる地域もある。
「笹巻き」のほかに、「菱巻き」、「角巻き」、「三角巻き」などと呼ばれ、包み方、形態の違いがみられる。二枚の笹を使う例が多いが、由利地域では三枚の葉で、先のとがった形につくる。
もち米を笹の葉で巻いて茹でる製法は、秋田・山形・新潟など、主に日本海側に分布し、その伝播は北前船によるものといわれ、笹の殺菌効果により保存が利く笹巻きは、携帯保存食としても重宝された。

勝平得之「ささまき」昭和十七年
五月五日、端午の節句には、疫病よけとして菖蒲・ヨモギを軒にさして邪気を払い、チマキや柏餅を神棚に供え、菖蒲湯をたて身を清める。今では失われかけた伝統だが、これは中国から伝わったの端午の行事と、日本古来の習俗が複合したもの。
つくった笹巻きは、勝平の版画にあるように、吊るして保存したものだが、もともとは軒に吊るして魔除けとしたものという。
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関連リンク
笹巻きレシピ(秋田由利地域)
三枚の笹で包む先のとがった由利地域の巻き方
乾燥笹の葉販売と笹巻きの作り方(山形)
笹巻き・島根県雲南市
子供のころ、隈笹(クマザサ)の若葉が適度な大きさに育つこの時期になると、父と一緒に生家に近い金照寺山に、笹巻きに使う隈笹を採りに出かけるのが恒例の行事だった。
「ちまき笹」の通称がある隈笹の若葉は、香りが良く、柔らかくて加工しやすい。母は一晩水に浸してザルで水を切ったもち米を、器用に二枚の笹の葉で包み、イグサで結び茹であげる。


写真は、通町「せきや」で「大久保笹巻き」の名で販売している、小ぶりで扁平気味の笹巻き。関谷さんは大久保出身の、元々は荷物を背負い行商したガンガン部隊だから、大久保特有のつくりかたなのかもしれない。

結ぶイグサと笹の移り香が、ほのかに漂うもち米に、青きな粉をまぶして食べる笹巻きは、初夏の郷愁の風味。
チマキとは本来、茅(チガヤ)の葉で包んだことからの名だが、その形は地方によって様々で、米を包む材料も、竹の皮、笹、薦(コモ)、菖蒲などが使われ、それぞれの名で呼ばれていて、秋田県内でも、もち米粉とうるち米粉を混ぜ水でこねて、笹団子をつくる地域もある。
「笹巻き」のほかに、「菱巻き」、「角巻き」、「三角巻き」などと呼ばれ、包み方、形態の違いがみられる。二枚の笹を使う例が多いが、由利地域では三枚の葉で、先のとがった形につくる。
もち米を笹の葉で巻いて茹でる製法は、秋田・山形・新潟など、主に日本海側に分布し、その伝播は北前船によるものといわれ、笹の殺菌効果により保存が利く笹巻きは、携帯保存食としても重宝された。

勝平得之「ささまき」昭和十七年
五月五日、端午の節句には、疫病よけとして菖蒲・ヨモギを軒にさして邪気を払い、チマキや柏餅を神棚に供え、菖蒲湯をたて身を清める。今では失われかけた伝統だが、これは中国から伝わったの端午の行事と、日本古来の習俗が複合したもの。
つくった笹巻きは、勝平の版画にあるように、吊るして保存したものだが、もともとは軒に吊るして魔除けとしたものという。
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