スギッチという「ゆるキャラ」を考察する

川端たぬき

●「スギッチ」改造論


「秋田わか杉国体」のマスコットキャラで、国体終了後は秋田県のマスコットに抜擢され、秋田の「ゆるキャラ」界で人気を一身に集める「スギッチ」。

オリジナルデザインや、多くの国体選手がお土産に買っていったぬいぐるみは可愛らしいのだが、それが着ぐるみとなると、総じてバランスが悪くダサい印象を受ける。「中の人」の背が高すぎると、とくにバランスが崩てしまう。まるで緑色のイカのような上半身に、「お前はイカ飯のPRキャラか!」と突っ込みたくなる。


04.06 大町にて

こちらは初期バージョンの着ぐるみ、円錐形の胴体、笑みをたたえた赤い口、眼の大きさ、覗き穴の位置など、現在のものと大きな違いがあり、まだ未完成な印象を与える。中の人は女性だろうか、かなり身長が低い。


07.02 アルヴェにて

次は現在のバージョン。この着ぐるみにも微妙な個体差があるが、オリジナルイラストとの顕著な違いは、眼が大きすぎるということ、これが全体のバランスの悪さを際立たせている。

少女漫画や萌えキャラの特徴である大きくうるむ瞳は、可愛らしさの象徴であるのだけれど、過ぎたるは及ばざるが如しで、それが度を超すと、観る者に異様さと威圧感を与える。

ということでこの「スギッチ」に眼を小さくする整形手術を試みた。


整形後

眼を70%ほど縮小、間隔を広げ角度をハの字型に整形、さらに白い隈取りを狭くして、オリジナルイラストに近づけてみた。整形前と比べて、こちらの方が自然だと思うのだがどうだろうか。

「ゆるキャラ」(ゆるいキャラクター)の「ゆるさ」にはそもそも、「どこか間抜けでヘンテコリン」というようなニュアンスが含まれているのだから、「スギッチ」の着ぐるみのダサさやアンバランスは「ゆるキャラらしさ」と言えなくはない。

●「ゆるキャラ」というアイロニー

「ゆるキャラ」というネーミングを発明した、サブカルの申し子・みうらじゅんのマイブーム(これもみうらの造語)には、「とんまつり」(とんまでまぬけな日本各地の奇祭)、「カスハガ」(観光地で売られているカスのような絵葉書)、「いやげ物」(もらっても嬉しくないまるで嫌味のような土産)などがある。

「ゆるキャラ」もこれらと同一線上の、ある種のアイロニー(皮肉)が含まれたネーミングなのだが、滑稽なのはその真意を知ってか知らずか、ブームに便乗した全国の自治体や公共団体などが、自らのマスコットに率先して「ゆるキャラ」を冠して使い始めたことである。

「ゆるキャラ」というカテゴリーは、あくまでも観察者側の分類、またはオタク用語であり、制作側が使うことばではない。使うとすればそれが自虐的なことばであることを肝に銘じなければならない。

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