辻呉服店の昭和モダン広告

川端たぬき


新聞広告 昭和10年

中央の図案家の手によるものか、モダンでセンスの良いデザインが、紙上でひときわ眼を惹く、辻呉服店(辻兵)の広告である。

効果的にちりばめられたカタカナの書体は、カタカナ文字だけで日本語を表記すべきであるとの主張を基に、カタカナを国字とする運動を展開した「カナモジカイ」が、大正十四年に賞金をかけて募集した活字字体を改良した「ホシ」とネーミングされたモダンかつ美しい書体。


「ホシ」活字見本

「ホシ」は文字の肩線(上の横線)をそろえた「カタセンガナ」(肩線ガナ)に分類される、分かち書きした横書きカタカナ文が、読みやすいように工夫された書体で、レミントン社から発売されたカナタイプ(タイプライター)にも採用されていた。

ちなみに、このカナタイプの文字配列である「カナモジカイ配列」から旧 JIS 配列が誕生し、のちに改良されて、現代の JIS キーボードにみられるカナ配列となった。

「株式会社モトヤ」から「カタセンガナ」のフォント「アラタ」が発売されているが、活字体の「ホシ」のほうが完成形といっても過言ではないほど、デザイン的には優れていると思う。

現在も活動している「カナモジカイ」については、下記関連リンクに詳しい。


新聞広告 昭和10年



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関連リンク

カナモジカイ・ウィキペディア(Wikipedia)

財団法人 カナモジカイ

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