梅雨入りに落ちる花の名栗の花

川端たぬき


08.06.28

梅雨の頃、黄白色でコップを洗うブラシのような穂状の花から、あの青臭い匂いを放つ栗の花。この穂状の花は雄花で、その穂の下に小さく咲き、やがて栗のイガに成長する雌花はまだ目立たない。

道ばたに重なって落ちた栗の花は、今にも動きだしそうな大きな毛虫のようで気味が悪い。夜道を歩いていて、足下にこいつが落ちていると、一瞬ドキッとする。



「栗花落」という珍しい名字が兵庫県あたりに分布している。「栗花落」と書いて「ついり」または「つゆり」と読ませる、その名の由来は「梅雨入りの時期に栗の花が落ちる」ことからで、「つゆいり」が「ついり」や「つゆり」と変化したという。

非常に風流な名字ではあるが、梅雨時に特有の匂いを放つ栗の花には、どんよりと重く陰鬱なイメージがつきまとう。


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