絵葉書で見る・秋田県記念館


秋田県記念館・戦前

2008.11.30日現在、ブログタイトルに使用している「県記念館」の画像は、「廣小路より記念館を望む」とタイトルがついた、戦前(昭和初期)の絵葉書を素材に加工したもの。

その絵葉書のキャプションに、「こゝ蓮花香る清らかな壕のほとり、廣小路より中土橋を渡った處に市民公会の殿堂たる記念館が建ってゐる。この邊りより緑樹滴る千秋公園の風趣が展けてゆく。」とある。


現在の同地点 06.11

建物の他に大きく変わったのは、現・平野美術館前の土手にそびえ、戦後になって秋田市の保存樹に指定されたクロマツの姿。




湾曲して水面まで垂れ下がる見事な枝振りをみせていた太い枝、ならびに、東側に分かれて高くそびえていた枝も、しばらく前に枯れ落ちて、今は見る影もない。

隣接するクロマツも昨年(2007)の暮れに腐食のため倒壊。この土手に並ぶクロマツは、推定樹齢350年というから、そろそろ寿命を迎えているのだろう。



こちらは昭和20年代後半に秋田市観光協会が発行した絵葉書。キャプションに「秋田記念館 千秋公園入口にあって諸集会に利用される記念館は木陰と壕に白い建物が良く調和されている。となりには児童会館児童遊園地がある。」と、水に囲まれた大正ロマンの洋館を紹介。

記念館の隣、現・県民会館の地に昭和25年、初代の児童会館オープン、ならびに、記念館の広小路側に児童遊園地を開設。同年に千秋公園二の丸に「秋田県児童会館付属児童動物園」(のちの秋田市立児童動物園)を開設。児童会館はその後、婦人会館に隣接した中通一丁目を経て、山王の現在地に移転。

この時代のカラー絵葉書は、モノクロ写真を元にレタッチマン(製版職人)がカラー化した人着(人工着色)印刷。絵葉書に限らず、人着印刷の風景の背景には晴天の青空が広がるのが常だが、曇天のモノクロ写真であっても、レタッチマンはそれを青空に変え、白雲を浮かべてみせた。

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