ゆうもれすく・のすたるじあ・ぼへみあん


ドヴォルザーク作曲「ユーモレスク」 演奏・フリッツ・クライスラー

NHK ラジオ番組のテーマソングだったか、物心のついたころから、毎日のように生家の真空管ラジオから、ドヴォルザークの「ユーモレスク」が流れていた昼前のひととき、かたわらには針仕事をする母が居た。

重度の鉄道ヲタクであったことでも知られるドヴォルザークが、米国時代に故郷のチェコに一時帰国したとき、レールの響きにインスパイアされ生まれたという曲。

まどろみのなかで、ガッタン・ゴットンとレールを響かせて、ゆっくりと蒸気機関車が走り出すさまを表現したという冒頭の旋律を耳にすると、過ぎ去りし日々の郷愁に波立つ心はやがて深く静かに時間の海をたゆたい、動き出した車窓に走馬燈のように、いつか見た遠い日の光景を映しだす。

交響曲第9番「新世界」第2楽章の、日本では「家路」「遠き山に日は落ちて」として知られる曲にしても、ボヘミアン(ジプシー)がはぐくんだ、西洋音楽とは異質のボヘミア音楽を継承する、ドヴォルザークが創造する旋律は日本人の情緒にも通じ、聴く者を深いノスタルジアに誘う。


Going Home(家路)