ホームコメディの主題歌は「生きてるって言ってみろ」
一家だんらん物語 新番組予告
バックに低く流れるのは、友川かずき(現・友川カズキ)が唄う、連続テレビドラマ『一家だんらん物語』(1986)の主題歌「生きてるって言ってみろ」。
まだ30代の半ば、切れ味の良いナイフのような伸びのある声で、笑うように、また泣くように喉を震わせ絶叫する友川節が健在。
還暦も間近となった今は、若いときとはまた違った枯れた味わいと深みがあるが、ライブパフォーマンスの点では最も充実し、今も語りつがれる伝説的ライブをくり広げていた時代の録音である。
「生きてるって言ってみろ」のオリジナルは、1974年、東芝からリリースされたセカンド・シングル。主題歌として使われることが決り新たに録り直され、1986年 CBSソニーから再リリースされた。
若いときはこの曲をやると、必ずギターの弦が何本か切れ、唄い終わるころには5本の弦がぶっ飛び、もうギターだか打楽器だか訳のわからない状態になり、その指先に血がにじむのを間近で目撃したこともある。まったくもって正気ではない。
それにしても、こんなとんでもない曲がメジャーレーベルからリリースされ、ドラマの主題歌に選ばれ、ゴールデンタイムの茶の間に流れていた時代は、今から思えばとんでもなく面白い時代だったのかもしれない。
このドラマで友川は主題歌のほかに、近所の住民というちょい役で出演もしている。秋田なまり丸出しで。
秋田なまりといえば、1983年公開の映画『戦場のメリークリスマス』で坂本龍一が演じたヨノイ大尉の役に、大島渚は当初、友川を想定していた。しかし、あの役に秋田なまりは似合わない。大島は友川に「秋田なまりを直すつもりはないか」と問うが「ない」という返事、やむなくあきらめた大島は代役として坂本龍一を選んだという。
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