秋田劇場に「飛び出す活動写真」現る

大正十三年 新聞広告
世界の大驚異ジェームズ・キャメロン監督の最新作『アバター』で話題になっている3D映画の原点といえるアナグリフ式立体映画が、大正十三年(1924)八月、秋田市柳町の秋田劇場にて公開された。
不思議な眼鏡を通して画面実物が客席に飛出す一大大発明!
映画界の大革命
飛び出す活動
御客様方にもれなくこの不思議な眼鏡を差上升
観客は受付で片目に青セロファン、片目に赤セロファンが貼られた紙製の眼鏡を受け取り、暗闇の客席で楽団の奏でる音楽と、活動弁士の解説とともに初めての立体映画を体験した。
五本立ての同時上映作品は牧野省三監督の明治維新劇『燃ゆる渦巻』(マキノ映画製作所)、細山喜代松監督の『浜田刑事』(日活京都撮影所)、米国映画『男装令嬢』、SF チックなタイトルの『第三恐怖の未来』も洋画だろう。
米国におけるアナグリフ式立体映画の商業的初公開は1915年(大正四年)だが、大正十二年(1922)、本格的な立体劇映画作品『The Power of Love』が、ロサンゼルスのアンバサダー・ホテルの劇場で初公開された。秋田劇場で上映された『飛び出す活動』はこの作品だったのかもしれない。いずれにしろ日本で始めて公開された立体映画だった可能性が高い。

秋田市柳町「秋田劇場」
アナグリフ式立体映画の詳細と、昭和十一年に秋田市十人衆町の映画館「旭館」で上映された立体映画については下記関連記事に。
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