夜店の明かりに誘われて

川端たぬき

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千秋公園桜祭り・湖月池夜景


桜祭りの期間、千秋公園の入口(中土橋)から延々と両側に続いていた露店が一気に減少したのは、暴力団追放運動に関連して、テキヤの露店が軒並み排除されてからのことだった。味も素っ気もない素人露店がまばらに出ただけの、その年から数年間の桜祭りは寒々とした光景だった。その後、テキヤの露店も徐々に復活したが、あの頃の賑わいを取り戻すことはもう出来ないのだろうか。

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白熱電球のオレンジ色の明かりを放つ夜店は、一瞬にして郷愁の彼方へと連れていってくれる時間移動装置・・・・・・・・・・。一回使えばすぐに切れ味が落ちる万能ナイフ(ガラス切り)を、見事な実演と口上で売るオヤジ。人だかりの向こうの啖呵売(タンカバイ)の声は、ノコギリなどの刃物専門店。針金をペンチで巧みに曲げ、自転車、鉄砲などのオモチャを作るオヤジ。祭りの間だけは子供も楽しめるパチンコ台も並び、怪しげで魅力的な露店が連なる道を、胸躍らせながら時間を忘れて歩いたあのころ、幼なじみのあの娘は、裸電球の明かりに照らされて、いつもより可愛く見えた。

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