路上に白き足跡・足型ストップマークの謎

十数年前の竿燈期間中の夕方、寺町の家々の玄関前に点々とマーキングされた足型マークを指差した観光客から、「このマークは竿燈の立ち位置ですか?」と質問された。「これは子どもの飛び出しを注意するマークです」と答えると、その夫婦づれは「ほう、そうなんですか、はじめて見ました」と、えらく感心していたのだが、日頃あたりまえのように目にしていて、どこでも見られると思っていた路上物件だから、むしろこちらのほうがその反応に感心してしまった。
秋田市の場合、家の出入り口にマーキングされていることが多いが、全国的にみれば、通学路の交差点、横断歩道前、幼稚園や小学校の出入り口などに多く、秋田のように町内会単位で家庭ごとにマーキングする例は少ないようだ。
画像を検索すると、ステッカータイプ、味わい深い手描きのもの、裸足型、肉球型など、そのバリエーションも多彩、なかには“杖を突く腰の曲がって亀”が描かれた高齢者用まであって面白い。

1974年3月の『広報あきた』に
◇ストップマーク作戦とある。これが足型ストップマークに関するいちばん古い記事。
子どものとび出し事故を防止するには、いつでもどこでも一時止まって、安全を確認してから動く習慣を身につけさせることが必要です。そのひとつの方法として「ストップマーク作戦」があります。これは各家庭の敷地内に、白色ペイントで路面に足形と停止線を表示し、子どもたちには道路に出る前、ストップマークで一時立ち止まらせるようにするものです。ベニヤ板などで足形を切り抜いた模型を作り、町内単位で表示をすると効果があります。
自家用車が急増し、交通戦争といわれるほど交通事故が多発した1960年代末から70年代初頭のころ、どこかで考案されたストップマークが、口コミで全国に広がったものなのではないだろうか。だから統一した規格があるわけでなく、各地で形態が異なり、実施する団体もさまざまで、まったく存在しない地方もあるのだろう。
秋田市のように町内会単位で自主的に「ストップマーク作戦」が実施された場合、町内の児童数にも関係することなのだろうが、熱心に作戦に取り組んだ地区に足型マークが集中し、反して作戦に無関心だった地区にはまったく見られないという、分布のかたよりが生ずるわけである。

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