噴水ジュースがあった時代

噴水型ジュース自販機「オアシス」
ボトルの中で噴き上がるおいしそうなオレンジジュースに購買欲をそそられ、左のコップホルダーから紙コップを引きだし、右の受け皿に載せ十円玉を入れると冷たいジュースが注がれる。
昭和三十二年(1957)に、日本初のジュース自販機を世に出した星崎電機(現ホシザキ電機)が、昭和三十七年(1962)「街のオアシス」というネーミングで、噴水型のジュース自販機を発売し大反響を呼ぶ。ガラスボトルの内部で冷たいジュースが吹き上げる仕掛けは、ディスプレー効果絶大。日本中のデパートや街角に設置され、十円紙コップジュースとして親しまれた。

ジュースの添加物調査 昭和三十九年(1964)
秋田県広報誌のグラビアから、食品監視員による添加物調査の様子。場所は木内デパート屋上と思われる。夏場はあまりの売れ行きの良さに、補充したばかりの生ぬるいジュースに当る確率も高かった。

秋田ステーションデパート内「○〆(まるしめ)鎌田」昭和四十六年ころ
星崎電機の「オアシス」に似ているが、ボトルの部分が角形で全体的にコンパクトにまとめられている。
一世を風靡した噴水型ジュース自販機だったが、機器の中をジュースが直接循環する極めて不衛生な方式が問題となり、衛生面での規制が敷かれ、その後は瓶・缶入りの自販機へと役目を譲り、噴水型自販機はこの世から消えてしまう。
星崎電機(現ホシザキ電機)ではその後、アイスクリーム、コーヒー、ハンバーグ、ストッキング、全自動製氷機等のユニークな自販機も開発し、現在は業務用厨房機器全般を扱うメーカーとなった。
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