岡山軌道「たま電車」は秋田市電200形の末裔

川端たぬき


秋田市広小路「協働社ビル」前 1960s

秋田市交通局 200形202号
昭和34年(1959)新車購入
日本車輌製造KK ボギー客車 定員96人
交通局に新型電車

市交通局に全鋼鉄製ドアエンヂン付の新型電車一両がおめみえした。
製作は日本車両製造、低床二軸のボギー車で八百二十万円。
扉は自動的に操作するドアーエンヂンで、ゴム入れ弾性の車輪は動揺も少なく乗心地も上々。車内の照明も交流点灯のけい光灯のモダンなもので、東京都電の新車なみ。
二月二十三日関係者の試乗もなかなかの好評ぶり。二十四日から一般路線にくり入れられて十六両の電車が秋田駅-土崎間の運転にあたる。
昭和34年3月1日発行『広報あきた』128号より
昭和41年(1966)の秋田市電廃止にともない、200形201号・202号の2両を1台150万円で岡山電気軌道KKに譲渡。大阪車両工業KKにて集電装置をポール式からパンタグラフ式に変更したワンマンカーに改造、外装も南国らしい明るい色に塗り替え、その名を1000形1001号・1002号と改め岡山市で再デビュー。


岡山電気軌道 1000形1001号・「岡山電気軌道株式会社」webサイトより

初めての大型ボギー車を導入した岡山電気軌道では記念乗車券を発行。弾性車輪を装備した静かで乗り心地の良い1000形車輌は市民の好評を博した。

岡山電気軌道 1979/2/11

8ミリフイルムに記録された貴重映像。冒頭部分、3005号が出発して間もなく、オレンジ・ホワイトのツートンカラーにワンマン車を示すブルーラインが入った1001号(旧秋田市電)が停留所へ入ってくる。

昭和56年(1981)、クーラー付き新造車体への更新を期に、名称を1000形から7100形(7101号・7102号)と改めるが、足回りに旧秋田市電の台車・制御器・モーターを継承。

平成21年(2009)4月、グループ会社である和歌山電鐵・貴志川線貴志駅「猫の駅長たま」のイラストで7100形7101号をラッピング。「たま電車」の愛称で人気を呼ぶ。

誕生から50余年、秋田市から身売りされて約45年の歳月を経て姿はすっかり変わったが、岡軌7100形(7101号・7102号)両車輌の心臓部には旧秋田市電の器機が受け継がれ、今も市民の足として活躍している。


「たま電車」7100形7101号・「岡山電気軌道株式会社」webサイトより

たま電車(岡山電気軌道)


秋田市広小路「旧・協働社ビル前」2010.01

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関連リンク

岡山電気軌道株式会社 電車営業部(路面電車)

彷鉄 岡山電気軌道 1002
1002号車カラー写真

岡山電気軌道

Comments 1

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たま族

この車両とほぼ同形の60形は、たま駅長のいる和歌山の軌道に譲渡されたのです。
残念ながらあちらは数年で和歌山軌道線の廃止により姿を消してしまいました。
しかしながら、和歌山軌道線と同じ和歌山電気鉄道に端を発する和歌山電鐵貴志川線は生き残り、今日たま駅長の力も借りて復活しました。
そんな中、かつて和歌山を走った車両と同じ出自の車両が、岡山でたま電車となる・・・何かの運命を感じます。敢えて、これを選んだのかもしれないけど。

  • 2013/12/14 (Sat) 12:02
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