ジャズスポット「ロンド」

川反一丁目
昭和五十一年(1976)中央通りから現在地に移転。
高堂屋酒店の米蔵を改修して再生させたため、当初は酒麹の甘い香りが漂って良い感じだった。
はじめは中央通りの木内に通じる小路の東角、郵便局(現・マンション)の二階で営業していた。狭い階段を上ると、薄暗くて眼が馴れるまでは客の顔もよく見えない。ほの赤い照明と会話が聞き取れぬほどの大音量のリズムに身を任せる体験は、あたかも母親の胎内で羊水に揺られて心臓の鼓動を聞いているかのようで、とても安らげる空間であった。その大音量に、階下の郵便局からは抗議の電話が毎日のようにかかってきて、マスターや奥さんが対応していたのを覚えている。
以前の看板は木製だった。中央通りから移転の際に、常連客たちから樫の木の手造り看板を贈られるが、受験生が表札を盗む縁起担ぎか、過去六回ほど盗難に遭いまた戻ってきている。受験生たちにとっては、表札よりもパワーがある木製の立派な看板は伝説的な存在だったのかもしれない。
現在地に移転してしばらくはレコード盤の音が流れていたが、その後すべてCDになってしまう。
オーナーの那珂さんは80年代に自主製作映画「隙間」を製作、テレビドラマやCMも手がける映像作家でもある。秋田県薬剤師協会のCMは、平成十五年ギャラクシー賞を受賞している。
秋田県薬剤師会CMギャラリー
http://www.akiyaku.or.jp/movie/
那珂静男インタビュー
http://freett.com/moveakita/naka/naka.html
隙間
http://www.the-indies.com/movie/sakuhin/3rd/movie/26/
ロケ地は秋田市広小路と新宿のビルの隙間
ジャズ喫茶マッチの旅・秋田編
http://kitan.semana.co.jp/jazzmach/akita/akita.html
かつて川反にあった「もなみ」と「ロンド」の、なつかしいマッチ箱が見られる。