遠足のお供に「カルミン」

15粒入り 50円
大正十年(1921)、明治製菓の前身、東京菓子株式会社から発売されたロングセラー。
原料の「炭酸カルシウム」と「ミント」を組みあわせて「カルミン」と命名。
表面に刻印されたMSの文字は明治製菓の頭文字。
青地に赤、黄色文字が眼を惹くパッケージデザインが秀逸。

大正十二年 新聞広告
進物用カルミン詰め合わせである。
「世界随一の栄養錠菓 カルシウム入り」と、その栄養価を謳い、お菓子というよりは健康滋養食品のような扱いが時代を感じさせる。「カルミン」が発売された大正後期には、カルシウム入りビスケット「カルケット」、グリコーゲン入りキャラメル「グリコ」、乳酸飲料「カルピス」などの滋養食品が次々に世に出ている。
発売当初から、ほとんど変わらぬ味という、白きタブレットを口に含むと、なぜかホッとするのは、遥かな郷愁の風味であるからだろうか。
最近は輸入物を含めてミント系タブレット菓子が数多く出回っているが、ミントが強すぎたり、変な癖があるものが多い。その点、絶妙なミントの配合とシンプルで優しい味わいの「カルミン」は、さすが、八十余年、絶えることなく庶民に親しまれ続けた薄荷菓子である。
小学校の頃は10円、ミニサイズが5円で、遠足の定番菓子だった。
あのころと変わったのは、ビニールパックに密閉されていることと、原産国がシンガポールになったこと。工場をシンガポールに移したのは、1980年代半ばからという。