与次郎を足蹴にする罰当たり・エリアなかいち

秋田市中通一丁目地区(日赤・婦人会館跡地)市街地再開発事業「エリアなかいち」のオープンにあたり、マスコッ卜キャラクタ一に就任した、飛脚の白狐 「与次郎」。
「与次郎」の担いでいる御状箱の「柄」、つまり、棒の部分が途中で分断された「仲小路」、そして「御状箱」が「エリアなかいち」を表していると解釈すれば、このキャラには「エリアなかいち」が、血税を投入した公共事業でつくられた文字通りの「箱物・ハコモノ」であることの皮肉が込められているようにも見えておもしろい。

2012.07 秋田市にぎわい交流館AU(あう)
ATOKで「あきたしにぎわいこうりゅうかん」で変換したら「秋田 死に際 以降 流感」と、不吉な文字列が出現し、唖然としたことはさておき、上の画像は「エリアなかいち」内「にぎわい交流館AU」の玄関に敷かれた除塵用ドアマット。通行人が玄関を通るたびに「与次郎」を足蹴(あしげ)にする、全く以て罰当たりな仕様となっている。
あしげ【足蹴】「与次郎」は久保田藩の飛脚として活躍した忠義の狐。山形の六田村で殺されたあと、佐竹公が城内に祠を建て「与次郎」を手厚くお祀(まつ)りしたのが、市内に二カ所存在する「与次郎稲荷神社」の始まり。
(1)足で蹴ること。
(2)転じて、他人にひどい仕打ちをすること。「人を−にする」
明鏡国語辞典 第二版 (C) Taishukan, 2011
一般の稲荷神社での狐は「食物を司る神と人を結ぶ使役」だが、「与次郎稲荷神社」の場合、狐そのものが神として祀(まつ)られている珍しいケース。そのような神格をそなえた「与次郎」をモデルにしたキャラを足蹴にするとは、なんとも非道すぎる。
担当者たちは「与次郎」を集客のためのツールとしてしか見ていないのだろう。そこには神仏に対する畏敬など微塵も感じられない。
実は、モノガタリの中での「与次郎」は、山形で殺されたあと、村人に狐憑きの祟りをなして恐れられ、その怨念を鎮めるために神として祀(まつら)られた、恐ろしい一面をもつ存在。そんな「与次郎稲荷伝説」に関する詳細は以下リンク先に。
二〇世紀ひみつ基地 ホントは怖い与次郎稲荷伝説・エリアなかいち
ドアマットに話をもどすが、新聞のように文字があるものを「踏むな」、寝ている人や横になっている人を「またぐな」と、親にしつけられて育った世代にとっては、文字やキャラクターを足蹴にすることに抵抗があるに違いなく、また、そのような礼儀作法が守られていた時代ならば、この手のドアマットが普及するはずもなかった。
足蹴にするキャラで思いだすのがコレ。

秋田駅構内 2004.07
秋田駅改札口に出現したグランシャルシート(路面広告)。
秋田駅東口の拠点センター「アルヴェ」に完成した、映画評論家・水野晴郎(1931〜2008)がプロデュースするシネマコンプレックスの広告。水野晴郎のキャラがフィルムのコマに描かれていた。
水野の個人事務所が主体となり、秋田市有楽町で映画館「パンテオン」を経営する第一商事が参画、「パンテオンシネマズ秋田」として華々しくオープンしたものの、約一年後に負債を抱えて閉館。運営に加わった第一商事も資金繰りが悪化して2011年に倒産することになる。
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2012.10.27 追記

2012.10 秋田市にぎわい交流館AU(あう)
最近、ドアマットが新調されたのだが、ご覧のとおり、新デザインのマットは与次郎が中央に配置されたため、直接踏まれる確率が高くなり、まるで「踏み絵」状態。これは非道い。
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